105話、九龍城
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67日目。
ゼストの家で、アリス、ゼスト、ロミオ、レギオン、そして私の五人で朝ごはんを食べた。今日はふわふわパンケーキだ。すごいふわふわ。前世でもここまでのは無かったかもしれない。
「甘くて美味しいな。マリアが好きそうだ」
あの子ならハチミツやらジャムやらに漬けて食べるだろうなあ。
「こんなに美味しいもの、何百年生きてきてはじめて食べたぞ……? ゼスト姉の言う通り、やばい街だわ」
そんな褒めても美味い飯しか出ませんよ。
「アリス、そちらはなんのジャムだ? 俺のと少し交換しないか」
「よろしいですわよ? こっちは柑橘のジャムですわ」
高貴組はイチャイチャしてるし。スマートにイチャイチャするな。
さて、昼前まで街の見回りをしたり、レギオンの分裂体にいろいろ仕事割り振ったり、またハヤトの兵器開発の話に付き合ったりした。
で、お昼過ぎ。
今日はヒナとイサムを連れて、地獄迷宮にいこうかなと思う。
地獄迷宮、九層の探索だ。
「三人乗っても大丈夫なのはすごいですよね」
「馬ちゃん、おつかれさま。力強くなったね?」
馬ちゃんにのってオアシスに着いた。大人三人が乗っても、スピードは落ちなかった。すごい。
馬ちゃんには外で待っててもらって、私たちは地獄迷宮に侵入する。
地獄迷宮、九層。
そこは、建物が集合した迷路のような場所だった。
「九龍城……? 」
「なんすか? それ」
「ああ、俺たちのいた世界に昔あった、とんでもない違法建築のスラム街、ですね。うん、たしかにこんな感じだ……」
九龍城って呼んじゃおう。
九龍城は、いくつも侵入口があり、そしてゴールがどこか全く検討がつかない。まさに迷路、迷宮だ。
魔物は……地面に寝転がってるのはゴブリンだし、やばそうな煙のでてる店をやってるのはオークだし、果物のようなものの露店をしているのはホブゴブリンかな? 今のところ誰も襲ってはこないけど、敵意は感じる。
「全員敵です。先制しますか?」
イサムは敵意が見れるって言ってたっけ。じゃあこいつらは敵で間違いないな。
「ヒナ、イサム、この迷路……ぶっ潰すよ」
「了解っす!」
「こっちの九龍城も解体ですか。ストレス発散になりそうだ」
私が気術で露店を爆破する。
途端、九龍城で生活を営んでいるフリをしていた魔物たちが、一斉に襲ってきた。
ヒナが大剣を一閃。下位種の雑魚は、建物の一角ごと吹き飛んでいった。
「ウォーリアーが来ました!」
「まだ雑魚っすね!だんだん強いのが来るんすかね? 」
ゴブリンウォーリアー、オークウォーリアーなどの、粗末な武器や盾をもった魔物が奥から襲ってくる。
イサムが聖剣を一振り。薄い霧のようなものが前方広い範囲に広がり、それに触れた魔物がぶくぶくと腐って絶命した。
「ヘッグちゃんの?」
「そうですよ。便利ですよね、食べられない魔物相手なら」
たしかに便利ではある。強い。欠点としては食べられなくなる事だけだからな。あと臭い。
それからまた上位の魔物がでてきた。色違い、ナイト系、キングゴブリンなども。
しかしすべて、ヒナとイサムが討伐。私は気術で建物をぶっ壊して遊んでいた。
「あら、ハリボテだった?」
「奥行そんなにないんすかね?」
「あ、いや、中庭的な……建物に囲まれた広場ですね、アレは」
奥に広場が見えた。
たしかに、ロの字の建物に囲まれた広場だ。
そしてそこには、ボスらしきものと、その取り巻きがいた。
「ん、テイム!」
「……チートですよねそれ」
「インチキっすよねこれ」
え、チートなんかつかってないし!勇者のほうがチートぽい能力持ってるじゃんか!見た技使えるってやばくない?魔物の技も使えるのありえなくない?
ボスに取り巻きを潰させ、制圧完了。
さて、クリアかな。
「……お、宝箱だ」
「私が開けるっす!」
……お、当たりっぽい顔してる。
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