96話、開発
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63日目。
昨日は結局、ドラゴン肉パーティって事でいろいろな料理が出された。
私が見知ったものから、見た事のないものまでいろいろあった。これは食べたことないな、と言うと、調理班の一部は勝ち誇った顔をしていた。なんかそういう勝負でもしてるんかな。
今朝は、ゼストの城でアリスと朝食だ。
ベルゼとヒナは、子供たちと食べてくるそうで。
朝ごはんは、エッグマフィンと紅茶。
アリスはベーコンエッグマフィンだ。因みに私は一個、アリスは五個。よく食うなあ。
「やはり、小麦が段違いですわね。ガチャで出た白パンと比べても……これ、我が国で一番高いパンでしたのに」
そういって、半分の白パンを差し出してくる。
うん、たしかに……美味しいけど、ウチの小麦の味には勝てないね。
「ここまで品質が違うと、取引も難しいね。めちゃくちゃ高値で売れるだろうけど、数が余ってるからお金が溢れちゃう」
「そうなんですの、魔物の素材なども、どうすればいいか……ゴールド様に教えていただいた物価やらも、この街で適応してしまうと大変な事になるんですの。もはや、銅貨や銀貨が使えないほどの価値になってしまいますのよ」
めちゃくちゃ物価の高い街、悪くは無いけど新参には厳しいよなぁ。ま、その辺は全部アリスたちに任せるけど。
今のところ上手くやってくれてるし、これからも上手くやってくれるさ。
朝食後、街の見回りをしていると、またハヤトに呼び止められた。新しい兵器を見せたいという。毎日のように開発してるけど、まとめて発表会でもさせようかな。
「今日のは凄いよ。ドラゴンの鱗を貫くバリスタの開発だ!既存のものから、土台から鏃まで全部を見直して、最強のものをつくったんだ!射程は一キロ程度、威力は五百メートルまでならドラゴンの鱗も貫く!どうだい、素晴らしいでしょう!」
おおう、熱意がすごい。
たしかに、あのドラゴンの鱗を貫くとなると、とてつもない事だ。タイマンだと初期のトロちゃんが負けるほどの相手だぞ、ドラゴンは。忘れそうになるけどめちゃくちゃ強いんだぞ。今のトロちゃんはブレス吐くようになったし、強さがおかしいけど。
「いやぁ、サンプルがいっぱい来たから実証実験がしやすくて助かったよ!これなら、オーガか、大人五人くらいのパワーがあれば装填もできる。矢のほうも特製だから、ここぞと言う時にしか使えないけど……それでも、いままでのものよりも圧倒的に防衛力があがるよ!」
うんうん、防衛力はなんぼあってもいいからね。
で、これはゴールドに売り出すという。襲撃が増えてるって事で、大変そうだし、私たちに出来ることで手助けはしておきたいよね、という事で開発されている。
ゴールドなら、国と私の間に入って、いい感じに最大限の利益をもっていくだろう。だからといって、国か私が大幅に損するような事もしないという信頼がある。長期的にみたら、間に居続けるのが最高だろうからね。
こんな感じで、魔物に対抗できるような、そして人間に運用できて素材も大したことないような、我が街としては安価な兵器は、ゴールドへの売り出し用としてそこそこの種類と数、開発されている。
それ以外の、売れないようなものはどうなの?って言われると……当然、いろいろ開発されている。
ドラゴンの鱗どころか、ドラゴンの全身を三体連結で貫くような威力の、消費魔力が一般魔法使い五百人分くらいある魔道レールガン。
アダマンタイト製の聖剣、聖鎧、聖盾。
ドラゴンの魔石とミスリルやオリハルコン、そして霊峰の霊樹をつかった魔杖。
その他、世間的には超レアと言われる素材をふんだんに使用した魔道具やらなんやら……。
これらはさすがに値がつけられないということで、ゴールドが買取を控えているものだ。住民には安価で売り出しているが。
ウチの城壁にあるバリスタも、普通に見えて魔道具だし、鏃にアダマンタイトが使われているしで、普通ではないのだ。
まあ、巡回の海鎧とスケルトンが、魔剣や聖剣を持ってる時点でおかしいのだが。
「あとは、これは売り出し用じゃないんだけど……」
どうやら今日は豊作のようだ。
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