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【完結】眼鏡ギャルの近間さん 〜陰キャの俺がギャルと友達になれたのは、眼鏡女子が好きだったお陰です〜  作者: しょぼん(´・ω・`)
第十章:近間さんの家

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第五話:気づいた事実

 あの後、前と変わらず美味しい海笑瑠みえるさんの手料理を味わい、お風呂を借りて先に湯船に浸かった後、片付けが済み床に布団を引いてもらった彼女の部屋で、俺はひとり横になっていた。

 まだ夜九時くらいだけど既にパジャマ姿。

 海笑瑠みえるさんはお風呂中。一応、未鈴みれいさんもまだ起きてはいたけど、


  ──「流石にずっと私と話してると、海笑瑠みえるも気が気じゃないでしょうし、緊張しちゃうでしょ? だから海笑瑠みえるの部屋でゆっくり待ってなさい」


 って気遣いから、こうやってひとりの時間を貰っている。


 確かに未鈴みれいさんと話すのは緊張するし、海笑瑠みえるさんや俺の事をずっと話されても困るし、そういう意味ではこうしてもらえたのはほっとしてる。


 とはいっても、この状況が落ち着くかと言われたら……。

 俺は上半身を起こすと布団の上で胡座あぐらを掻き、改めて部屋をぐるりと見渡した。


 女子の部屋に入ったのは黒縁先輩の部屋以来だけど、海笑瑠みえるさんの部屋もまた、彼女の部屋に負けず劣らずぬいぐるみとかは多い。

 ただ、壁にはあまりポスターとかを貼ってないのはちょっと意外。

 眼鏡男子のポスターとか、もっと沢山貼っているのかと思ってたから。

 あと、ちょっといい香りがするのもまた、黒縁先輩の部屋と同じ……って、女子の部屋ってみんなこんな感じなんだろうか?

 正直、これが一番俺を緊張させてる気がする。


 ……あれ?

 ふと、目に留まった本棚のひとつ、俺はちょっと違和感を覚えた。

 料理の本にコミック。小説なんかが並ぶ中にあったのは写真立て。だけど、何故か本の背表紙と同じ細い縁側を前にして置かれている。

 何であんな置き方なんだろう?


 ……何となく、そういうのはいけないって思ってたんだけど。

 それが妙に気になってしまった俺は、四つん這いで本棚まで歩み寄ると、すっとその写真立てを抜き出して、そこに何が収まっているのかを確認──え? これって……。


 そこにあった写真を見て、自然と顔が赤くなる。

 一瞬動けなくなったけど、すぐさま脳内で見ちゃいけないものを見たって理解した俺の身体が、すっとそれを本棚に戻させた。

 そして、再び布団の上に戻ると……俺はうつ伏せになり枕で顔を隠した。


 ちょ、ちょっと待った!

 何でわざわざ写真立てに、()()()()()が飾ってあるんだ!?


 そう。

 そこにあったのは、ガッチガチの俺が、海笑瑠みえるさんと手でハートマークを作った、初めてプリで撮影した写真だったんだ。


 た、確かに俺達はグラ友。

 彼女が写真を飾っていたとしてもおかしくない可能性もある。

 だけど、部屋を見回しても、例えば美香さんとかと一緒に撮ったような写真なんかは一切見当たらない。


  ──「えっと、それって、もしかして……」

  ──「まあ、()()ね」


 未鈴みれいさんが車の中で匂わせた言葉。

 それが一気に真実味を帯びたような気持ちになり、心臓がバクバクいい始める。


 海笑瑠みえるさんが……俺を、好き……。

 決定事項じゃない。本人から聞いたわけでもない。

 だけど、たったそれだけの事が、一気に俺に勘違いさせようと襲いかかってくる。


 ……いや、違うって。

 俺なんか好きになる要素……。

 そう考えた時、ふと今日の雨宿りでの一幕が頭に過った。


  ──「実は、あたしも久良くろう君に素顔を見られた時、何て言われるんだろう。どう思われるんだろうってずっと不安だった。でも、同時にわかってんの。あたしももう、久良くろう君と距離を置くなんて、考えらんないって」


 ……眼鏡をしない自分を晒し、真剣にそう言って。


  ──「あたしが今一番側にいてほしいって思ってるの、やっぱ久良くろう君なんだよね……」


 ……友達の多いはずなのに、一番側にいてほしいって思ってて。


  ──「俺? どうして?」

  ──「決まってんじゃん! その……久良くろう君が、優しいから……」


 ……俺が優しい。それをストレートに口にして。


  ──「だけど……俺は、眼鏡ギャルの近間さんのほうが、やっぱり好きだな」

  ──「……え?」

  ──「く、久良くろう君。その……今のって、もしかして……」


 ……もじもじと恥ずかしそうに、そう尋ね返してきた海笑瑠みえるさん。


 そこまで思い出した時。

 恋愛なんて経験していない俺でも、未鈴みれいさんの推測に嘘はない。そう思わせるだけの条件が整っている事に気づく。


 ……海笑瑠みえるさんが、俺を……。

 誰もいない部屋。静けさだけが包んでいるのもあって、俺の中にある恥ずかしさだけが高まり、変な声が出そうになるのを必死に堪えた。


 そりゃそうだろ!

 俺は今まで友達だっていなかったってのに。

 偶然とはいえ、あんな眼鏡をした可愛い子と友だちになっただけでも奇跡なのに、そんな彼女が俺を好きかもしれないんだぞ!?

 もし本当にそんな事ありえたとして……俺は、どうすればいいんだ?


 ふっと、魔が差したかのように思った疑問。

 それは、舞い上がった熱を一気に冷ますのに十分だった。


 俺は今まで、海笑瑠みえるさんを友達だって思ってた。

 勿論ただの友達じゃない。

 グラ友っていう特別な、それこそ親友に近い感じで思ってたし、やっとできた気の合う友達だからこそ、自分も大事にしたかったし、嫌われたくもなかった。

 そして、一緒にいて本当に楽しいと思ってた。


 ……だけど、それは()()って感情なんだろうか?

 海笑瑠みえるさんに笑顔を向けられて、可愛いって思うことも、ドキっとする事も沢山ある。

 だけどそれは、彼女に魅力があるからなだけで、男子ならみんなそんな魅力を感じてるんじゃないだろうか?

 もし、俺が持っている感情が、海笑瑠みえるさんを好きだって感情だとしたら問題ないかも知れない。

 だけど、この感情がただの友達だった時。もし海笑瑠みえるさんが俺を好きだって伝えてくる日が来たとしたら、俺はどう答えたらいいんだろう?


 この後、海笑瑠みえるさんと一晩過ごすという直前。

 俺は、未だ経験していない恋っていう感情を知らないことに、酷く戸惑っていた。

 まだ、彼女が俺を好きだって、決まったわけじゃないのに……。

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