鎌瀬海の恥ずかしい過去
あれから一週間だが何も起きていない。
本当に怖いくらい。
もしもこれが漫画や小説なら打ち切りレベルだよ。マジで、
だって俺あんなにイキがって何もないとか。
俺は一週間前の光景が鮮明に浮かんできた。
「まぁ良いですけど…俺の客なので最後まで責任は持つ」
いやいや、恥ずかし過ぎだろ!!
「死にてぇー」
俺は左肘を机の上に置いて顎を乗せて頬杖してため息混じりに言った。そして窓の外を見ていた時、クラスの女子が騒いでいた。
「ねぇ知ってる?2年B組の木崎晴美が大切にしていたネックレス盗まれたらしいよ」
そう言ってクラス女子がその話題で騒いでいた。
「え!それ知ってる…それとさ同じB組の田中圭が魔女って名乗る人に殴られたらしいよ」
———うんおかしいぞ。
そんな問題、生徒会はともかく魔女は見逃さないだろ。それが役割なんだから、
「何それ可哀想」
いや、絶対そんこと思ってないだろ。
可哀想って言ってる
私可愛いて思ってるだけだろ。
このクソビッチが!
俺は顔を机に伏せながら言った。
なんでこんなにクラス女子に嫌悪感を抱いてる理由は…それは…
今でも鮮明に覚えている。
中学3年の卒業式だ。
俺に積極的に話しかけてくれる
女子がいた。
その女子は積極的にボディータッチもしてくる女子だった。
LINEを送れば送った二日目の朝には返信がきていた。
そう、当時の俺はこう思っただろう。
こいつ俺のこと絶対好きやんこれもう告ったら絶対オッケーされる奴だと。
「好きです…付き合ってください」
俺は自信満々に手を前に出して言った。
「ごめん…友達じゃダメかな」
満面の笑みで、背中で手を組みながら。
「え!?あ..あ..はいこっちこそごめん」
戸惑いながらも、今の状況を理解できないままただ謝っていた俺がいた。
呆然としていた。虚しく現実を知った子供の様に、
いや今思えば、その女性は色んな人に笑顔を振り撒いて
どんな人にも優しくして、
男女問わず人気だった。
だからその笑顔ただの仮面だとしても。
当時の俺は気づかなかっただろう。
いや気づけない程の重い仮面、簡単には剥がれない仮面。
そして多分俺は恋心より可哀想、哀れの感情でその人に興味持っていてそれが恋だと勘違いしていただけだろう。




