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好きなのは。  作者: れーよ
3/4

岳のために。

《主な登場人物》


鮎川岳‥‥素はイケメンなのに、メガネをかけていて髪もボサボサのイケメン陰キャくんと言われている生徒会副会長の主人公の岳。そんな岳には生徒会長の田中有紗という好きな人がいた。岳は友達の刃に手伝ってもらって田中有紗を振り向かせるため垢抜けに挑戦する。主人公1。

松田刃‥‥みんなからモテている、岳の垢抜けをお手伝いする生徒会会計の主人公。でも、刃にも悲しい恋事情があるとか。主人公2。

田中有紗‥‥学校のマドンナ生徒会長の主人公。有紗は地味なイケメン陰キャくんと言われている生徒会副会長の鮎川岳に恋をする。主人公3。

結城和哉‥‥有紗の友達で、よく恋の相談を受けている和哉。でも、和哉にも好きな人がいて…。


第三者‥‥作者。最後に感想を言う謎の人物。

(岳編)

学校のマドンナ田中有紗と付き合うことになってから、一緒に登下校することが増えた。

刃がどうしても一緒に登下校をしたいと言うので毎週水曜日金曜日は一緒に帰ることにしている。

でも本当にみんなすごいな。付き合って一日で付き合ってることが広まった。

みんな「刃くんとじゃなかったのー!」とか「お似合いー!」とか「有紗様ロス」とか「岳くんロス」とか言っている。あと、「岳くん最近推し始めたのにー!」って言う人が多い。でも、靴箱にはラブレターがとんでもないくらい入っていてびっくりしている。有紗も刃も入ってるので靴箱を開けた時三人ともラブレターの雪崩が起こる。

いつも有紗は「彼氏できてもこうだから困っちゃう」と笑っている。

今日も靴箱を開けるとたくさんラブレターが落ちてきた。

あ、ちなみ今日は水曜日。刃もいる。

「あははは…本当多いね…。」

「ね。」

「俺は彼女もいないのできっと一生続くね。笑」

そう言い俺らはリュックに手紙を詰めた。

そして三人並んで教室に向かった。

「きゃー!!!岳様!こっち向いて!」

「今日も可愛いです有紗様ー!」

「刃様!!今日も美しいです!!!」まるでファッションショーに来ているのかと思うぐらい周りに人がいる。

ファンサうちわを用意している人もいる。

「刃、俺これどうすればいいのかわからない。」

「とりあえず要望通りにすればいいの。手振ったり。」

俺は「ウインクして!」や、「ピースして!」などに答えた。

「こ、こんな感じ?え、これであってるの?」

「うんうん。正解。」毎日こうだとよくわからなくなる。

とりあえず教室に着くと、有紗、刃、俺と人が集まってくるので教室は三つのまとまりができる。

「はい座れ。」という先生のホームルームは本当に神だ。

昼休み、俺と刃と有紗は生徒会室に行った。

「とりあえず、文化祭のことについて決めよう。まず決まっているのはコロナでできなかった文化祭を普通の文化祭として復活させること。今から決めるのは、テーマや、やること。」

有紗を中心に、決め始めた。

「はい!はい!」

「はい刃くん。」

「今はジェンダーレスの時代。男の子はメイド服を着て、女の子はタキシードを着て自分の出し物の宣伝をすると言うのはどうでしょう!」

「いいわね、それ!」

「はい。」

「はい岳くん。」

「俺は、ジェンダーレスをテーマに文化祭をやるって言うのがいいと思う。そして、BL、GL。これで劇をする。クラスで。というのは。」

「それもいい!じゃあこの二つ決定にしましょう!いい?」

役員のみんなは頷いた。

「刃くん、一クラス何円までにするか明日までお願いします。」

「はい!」

丁度チャイムが鳴ったところで解散をした。


翌日。

文化祭の出し物を決めるため、有紗と俺が前に出た。

「何をやりたい?」

するとみんなが「メイドカフェ」や「カップルコーナー」や「好きな人と喋れるみたいな?」などたくさん提案してきた。

その中でも気になったのがあった。

「お化け屋敷」だ。お化けや心霊系が好きな俺は大賛成だった。

そして最終的に決まったのはお化け屋敷だった。

刃が前に出て「予算はせいぜい二万まで。」と言った。

あともう一つ。劇のことを決めることになった。

GL、BLと言うとみんな「BLがいい!」と言った。

有紗が「役は誰?」と言うとみんな俺と刃を指差してきた。

すると刃が「お、俺ら〜?…やりてぇ奴らがいねぇんならいいぞ」と肩を組んで「な。」と言ってきた。

でもみんなやりたいとは言わなかったので決定してしまった。

そして始まった文化祭準備。

俺たちは更衣室に行き、練習のため体育館を借りることができた。

脚本とナレーターは有紗がすると言ってきたので頼むと、結構きつい内容だった。

「まって、これはみんなの前で発表できないよ。」

「それは俺も賛成…岳がこんな反応するってことは結構だぜ…」

「んー、そう?じゃあ変えてくる。」

と言い、一瞬で戻ってきた。

そのストーリーの内容は、

主人公の男の子、岳はゲイだった。

そして、癌だった。

でも、訳あって女子高校生のコスプレをしていた一見女子の男子、刃に恋をしてしまう。

でも刃は不老不死のようななぞの病気を患っていた。

不老不死で今まで愛していた人に何度も先立たれた経験のある刃は、恋や愛を捨て生きることを決めていたが、岳に恋をしてしまった。でも岳は癌で亡くなってしまう。そこで刃は「人生で一生愛した人だ。男の人を愛したのは初めてなのに。神様、どうか私を死なせてください。」と毒を飲み岳にキスをし、自分自身をナイフで刺して岳を抱きしめながら死んでしまう。そして一緒に天に旅立つという物語だ。

「これならいい。めっちゃ感動する。」

「俺…泣きそう…。」刃が目を手で隠して言った。

「そんな!?よし、練習しようか。」

そう言い有紗は紙袋を持ってきた。

「女の子のカツラと女の子の服。全部買ったやつだから安心して。」

「早。」

「ふふーん。やる気満々だから。」有紗はなぜか自慢げに言った。「田中さん。」と有紗が呼ばれ、「じゃあこれ着て練習して」と言われたので、俺は目を閉じ、刃の着替えを待った。

「着替えたー!」と言ったので目を開けるとまるで女子な刃が立っていた。

「どう?いや、さすがに無理あるよな。」

「いや、めっちゃ女子。可愛い。」

すると刃は顔を赤らめて「照れるわ!え、何。浮気?付き合って一ヶ月も経たないのに?」とニヤニヤして言ってきた。

「ち、違うし!可愛かったから言っただけ!俺は浮気はしませんよ。」

「へぇー。」

「いいから。行くぞ。」

そう言い、体育館にあがった。

「ところで、俺らだけでいいの?」

「確かに。キャスト少ない。」

二人だけでというのはな、脇役も必要だな。と思い、さすがに刃が女装して行くと劇のことが広まるので「刃はここで待ってて」と言い、体育館で待たせた。

そして教室に行き「急募!劇出てくれる人!脇役!生徒役!」と頼むとほぼ全ての生徒が手を挙げた。

すると有紗が、コソコソっと「じゃあ当日脇役として出てもらったら?今だったら人数足りなくて困る」と言ってきたのでそのまま伝えた。

そして体育館に向かうと、ステージに座り、足を下ろしてバタバタさせて暇そうな刃を見つけた。

「遅いー!」と頬を膨らませこっちに視線を向ける。

それはわがままな少女のようだった。

一瞬可愛くて本当に刃なのかと疑いフリーズしてしまったが、「ごめんごめん」と走って向かった。

「じゃあ練習しようか!岳、そのままの格好?」

「多分。俺のだけ用意されてなかったから」

「そっか。」

俺はステージに登った。

そしてセリフの読み合わせをした。

「刃、僕は君のどんな姿でも愛することができる。俺の残り少ない人生を、刃と一緒に過ごしたい。」

「だめだよー、僕はー、岳をー、愛せないー。僕はー、あんな悲しみをー、もう味わいたくないー。」

刃はとんでもないくらい棒読みだった。

「え、刃、棒読みすぎない?」

「これはどうすれば…」

「こんな感じじゃない?だめだよ、僕は岳を愛せない。僕は、あんな悲しみをもう味わいたくないんだ!みたいな。」

その後も特訓を続けた。

二時間かけてセリフを読んだ結果、刃の棒読みは無くなった。

すると「もうチャイム鳴るよ!」と有紗が走ってきた。

「わかった。今行く。」俺がそう返事すると有紗が

「え、隣の子刃くん…?」と目を丸くしてきた。

「そう!俺!やっぱり可愛い?」

「めっちゃ可愛い。私より。あ、でも。」

有紗はヘアゴム二つとくしを用意した。

「ふたつ結びの方がいい!」と言って刃の髪を結んだ。

「ほーら!もっと可愛くなった!本番、これで行こう!」

俺らは着替えて教室に向かった。

そのまま帰りのホームルームをして、三人で帰った。

でも今日の刃は口数が少なく、笑顔も少なかった。

話の途中で「だよね刃」と刃に話しかけても「…あ、うん。」と返事まで間があって少し考え事をしている様子だった。

翌日。

今日は有紗と二人で登校する日だ。

でも俺は、刃のあんな真剣な顔を初めて見て、それしか頭になかった。俺はそのことについてずっと考えていた。すると、考え事をしているのが丸わかりだったのか「刃くんのこと?」と有紗が聞いてきた。

「…そう。この間からなんか変だなって。」

「私も刃くん、なんか変だなって思ってた。岳くんがこんな真剣な顔するの見たことないから。前に動物園で刃くんの話してた時の顔と同じ顔してた。大切なんだね。」

「うん。刃が笑顔じゃないの、久々に見たっていうか。刃があんなに無口なの見たことなくて。そりゃあ人間考え事はするけどあんなに悩んでる顔初めて見た。」

「そっか…。」

教室に行くと、もう刃が教室にいた。

「おはよう刃。」

「おはよう刃くん。」

「おはよう。」

やっぱり、少し元気がない。

昼休み。

「刃、あのさ、」俺がそう話しかけると「ごめん、トイレ行くから。」と俺を避けているかのような態度を取る。

俺は帰り道、有紗に相談した。

「そっか…。じゃあ私が話聞いてみる。」

「ダメだよ…。有紗を巻き込めない。」

「いいの。私、中学生の時に同じようなこと体験してるの。一人じゃ解決できなかった。まあ、縁は切れちゃったんだけどね。でも、このこと知ってるの私と岳くんだけでしょ?だからいい。私、明日の昼休み話してみる。」

「…ありがとう。」

翌日。

今日は刃と三人で登下校する日だったが刃は「今日自転車で登校することにしたからごめん!」とやはり避けているようだった。

有紗は昼休み、刃と話すために刃のもとに向かった。

その後、「ごめん。」と謝ってきたので、「俺のほうこそ。ごめん。刃が悩んでることとか気づけなくて…。」

「謝らないで!俺が悪いんだ。でも今日は自転車で来ちゃったから一緒に帰れないけど、今度は一緒に帰ろうね!」と刃は笑顔で答えた。刃が元に戻ってよかった。でも刃のこの笑顔はいつもの笑顔と違い、まだ何か隠れている気がした。


(刃編)

岳と有紗が付き合い始めて、嫉妬はしていたが、楽しい。

でも岳と有紗は見せないだけでラブラブだ。二人はずっと一緒にいる。水曜日、金曜日は一緒に登下校をすることにしていたが、それも最近どうなのかと思い始めていた。

とりあえず、今日、水曜日は一緒に登校したがもうそろそろ距離を取ろうと思う。

これ以上好きが大きくなったらきっと壊れてしまう。

でも、文化祭が始まって、テーマがジェンダーレス、劇のテーマもジェンダーレス。そしてBL。それをみんなは俺と岳に演じてほしいと言った。距離を置きたい俺は拒否したかった。でもここで拒否しても、手を挙げる人がいなければ俺たちに決まってしまう。それならこの文化祭を機に距離を置こう。今回はみんなを巻き込まないようにしよう。

そう思った。

劇をやるのはいい。でも女装をするとは思っていなかった。

顔には出さなかったが、自分に似合うかと心配だった。

「どう?いや、さすがに無理あるよな。」

でも岳は「いや、めっちゃ女子。可愛い。」と言ってくれた。可愛いなんて、当然岳からは一度も言われたことがない。俺は顔を赤らめて「照れるわ!え、何。浮気?付き合って一ヶ月も経たないのに?」と言った。

すると「ち、違うし!可愛かったから言っただけ!俺は浮気はしませんよ。」と岳は頷いて言った。

「へぇー。」と疑うように言うと、「いいから。行くぞ。」とニコニコしながらステージに上がった。

「ところで、俺らだけでいいの?」

「確かに。キャスト少ない。」

「刃はここで待ってて」と言い、岳は体育館を出た。

俺は広い体育館に一人だったので暇でステージに足を下ろして座り、バタバタさせて待っていた。

「遅いなー。」と独り言を言っていると、体育館のドアが開いた。「遅いー!」と頬を膨らませ、足をバタバタさせて岳に怒る。

岳はなぜか数秒止まり、「ごめんごめん」と走って向かってきた。

俺はステージに立って「じゃあ練習しようか!岳、そのままの格好?」と言った。

「多分。俺のだけ用意されてなかったから」

「そっか。」

セリフの読み合わせをしようとなったので、することにしたが俺は学習発表会の時、棒読みをした黒歴史がある。

「刃、僕は君のどんな姿でも愛することができる。俺の残り少ない人生を、刃と一緒に過ごしたい。」

「だめだよー、僕はー、岳をー、愛せないー。僕はー、あんな悲しみをー、もう味わいたくないー。」

あぁ。やっぱり棒読みになってしまう。

「え、刃、棒読みすぎない?」岳は少しニヤけた。

「これはどうすれば…」俺は首を傾げ困った顔をした。

「こんな感じじゃない?だめだよ、僕は岳を愛せない。僕は、あんな悲しみをもう味わいたくないんだ!みたいな。」

岳は本気で指導してくれた。それは二時間続くほどに。

その結果、俺の棒読みは無くなった。

体育館のドアが開いた。有紗だ。

「もうチャイム鳴るよ!」と有紗が走ってきた。

「わかった。今行く。」岳がそう返事すると有紗が「え、隣の子刃くん…?」と目を丸くしてきた。

「そう!俺!やっぱり可愛い?」と俺は自慢げに言った。

「めっちゃ可愛い。私より。あ、でも。」有紗はヘアゴム二つとくしを用意した。

「ふたつ結びの方がいい!」と言って俺の後ろに着て、カツラを結び始めた。

「ほーら!もっと可愛くなった!本番、これで行こう!」

俺らは着替えて教室に向かった。

そのまま帰りのホームルームをして、三人で帰った。

俺は帰り途中、ずっと距離を置くことを考えていた。

どうしようか。離れたくはない。でも、岳のためにも自分のためにも有紗のためにも離れなきゃいけない。

好きがこんなに怖いなんて思ってもなかった。

考え事をしていると「だよね刃」と岳が話しかけてきた。話を聞いていなかった俺はなんの話が分からずなんとなく、「…あ、うん。」と返事をした。

その時、岳は不思議そうな顔をしていた。

とりあえず、この気持ちは岳にはバレないようにしないと。俺はそればかり考えていた。

翌日。

「おはよう刃。」

「おはよう刃くん。」

「おはよう。」当然だが挨拶をしてきた。でも、俺はそっけなく返してしまった。

昼休み。俺はできるだけ岳と喋らないようにしていた。

すると「刃、あのさ、」と話しかけてきた。嬉しい。でも、これ以上関わると岳を傷つけてしまう。俺は「ごめん、トイレ行くから。」と言って岳を避けた。

そしてまた翌日。

今日は岳と有紗と三人で登下校する日だった。でも俺はわざと自転車で登校することにした。すると岳から電話がかかってきた。

「刃、家にいないけど一緒に行かないの?」

「今日自転車で登校することにしたからごめん!」と応え、すぐに電話を切った

すると昼休み、有紗が「ちょっといい?」と話しかけてきた。俺は「いいよ。」といい、有紗について行った。

場所は生徒会室。誰もいないから殴られるのかとビビっていたが、「君、岳くんのこと正直に答えて。」と言ってきた。俺は、「岳のこと?」と答えたら、「好きなの?」と聞いてきた。動揺した俺は、後退りをし、後ろにあったゴミ箱を倒してしまった。

「あ、あー。友達として?」と答えると「動揺してる。丸わかりよ。」と笑っていた。「とりあえず座りましょう。」と椅子に座って話した。きっともう何を言っても信じてもらえないと思い、正直に話した。

「俺と岳は中学の修学旅行の時に知り合った。他校で、俺はその時は友達だったんだ。完全な。」

「うん。」

「でもある時、自分の気持ちがわかって。好きだって。でも岳には好きな人がいる。彼女がいる。俺は男。岳も男。だから俺はもう諦めた。でも、岳が隣にいる限り諦められない。恋心が暴走して、岳を傷つけることになる。俺はそれを避けたくて岳を避けた。もう一緒にいられない。」

すると有紗は、「岳くんを傷つけないためにしている行動も、岳くんを傷つけるんだよ。そして刃くん自身も傷つく。私は岳くんの彼女だけど、私のために、岳くんのために恋心を消そうとしないで。諦めないで。立ち向かって。私は遠慮はしない。でももしここで諦めるんだとしたら、一生許さないから!!これは私と刃くんだけの秘密にしとく。だから、刃くんの恋心が暴走しても私が止める。これからは恋のライバル&刃くんを止めるお友達。親友。」

「…うん。わかった。俺諦めない。」

その後、俺は岳に「ごめん。」と謝った。

「俺のほうこそ。ごめん。刃が悩んでることとか気づけなくて…。」

「謝らないで!俺が悪いんだ。でも今日は自転車で来ちゃったから一緒に帰れないけど、今度は一緒に帰ろうね!」

まだ少し距離を置きたいっていう気持ちはある。でも有紗に言われてやっと気づいたから、俺は諦めない。


(有紗編)

付き合ってから一週間。登下校を一緒にして…まあそこら辺の説明は刃くんと岳くんがしてくれてると思うので言いませんが、文化祭ですよ。大事なのは。

私が脚本すると言った理由は、私が腐女子で、好きなカップリングが岳くんと刃くんで、だから脚本して…!って思ったんだけど…やっぱりちょっときつい内容が多かったみたいで、少し感動系にしてみた結果、二人ともセリフを読むのに苦労していたのか二時間かかっていた。

「もうチャイム鳴るよ!」と走って体育館に向かったときセリフの読み合わせをしていた。

「わかった。今行く。」と言っていたのは岳くんだとわかったが隣の子がとても可愛くて誰かと思い五度見はした。

「え、隣の子刃くん…?」と目を丸くして聞くと「そう!俺!やっぱり可愛い?」とニコニコで答えた。

「めっちゃ可愛い。私より。あ、でも。」

私はヘアゴム二つとくしを用意した。

「ふたつ結びの方がいい!」と言って刃くんの髪を結んだ。「ほーら!もっと可愛くなった!本番、これで行こう!」やばい。萌え…!と出そうになったが、耐えた。

刃くん達は着替えて教室に向かった。

そのまま帰りのホームルームをして、三人で帰った。

でも今日の刃くんは口数が少なく、笑顔も少なかった。

話の途中で岳くんが「だよね刃」と刃に話しかけても「…あ、うん。」と返事まで間があって少し考え事をしている様子だった。

翌日。

今日は岳くんと二人で登校する日だ。

でも岳くんは何か考え事をしているのか、ずっと腕を組んでぼーっとしていた。昨日の刃くんの返事を見た岳くんは心配そうな顔をしていた。多分、今考えていることも刃くんのことだろう。私は「刃くんのこと?」と聞いた。

「…そう。この間からなんか変だなって。」

「私も刃くん、なんか変だなって思ってた。岳くんがこんな真剣な顔するの見たことないから。前に動物園で刃くんの話してた時の顔と同じ顔してた。大切なんだね。」

「うん。刃が笑顔じゃないの、久々に見たっていうか。刃があんなに無口なの見たことなくて。そりゃあ人間考え事はするけどあんなに悩んでる顔初めて見た。」

「そっか…。」

教室に行くと、もう刃くんが教室にいた。

「おはよう刃。」

「おはよう刃くん。」

「おはよう。」

返事も少しそっけなく、やっぱり何かあるな。と思った。

俺は帰り道、有紗に相談した。

「そっか…。じゃあ私が話聞いてみる。」

「ダメだよ…。有紗を巻き込めない。」

「いいの。私、中学生の時に同じようなこと体験してるの。一人じゃ解決できなかった。まあ、縁は切れちゃったんだけどね。でも、このこと知ってるの私と岳くんだけでしょ?だからいい。私、明日の昼休み話してみる。」

「…ありがとう。」

私は帰ってから、色々考えた。

でも、よくわからない。私が首を突っ込む話でもない、そうは思った。でも放っておけない。お節介をしたくなるほど岳くんが好きだから。…好き?

「そうだ!!!!!!!!!!!」私は家中に響く声で叫んだ。

「そうだ、刃くんは岳くんのことが好きなんだわ!私といる時の少し寂しそうな顔、なんか引っかかっていた。あと、水曜日と金曜日一緒に帰りたいって言うのも何か引っかかっていた。全てが繋がったわ!!!!!」と一人で叫んでいると家のインターホンが鳴った。またお母さんが通販かなんかで何か頼んだのだろうとお母さんに玄関を開けてもらったが、「和哉くん来たわよー!」と下の階から聞こえた。

私は下に降りて「どうしたん?こんな時間に。」と聞いた。

「母さんが唐揚げ作りすぎたからって。」と唐揚げを渡してきた。「ていうか、また変なTシャツ。今度は「pizza」逆にセンスいいね。」とバカにして家を出ようとしたので、「バカにしてはいさようなら?酷いわー。唐揚げはいただく。でも相談に乗ってもらう!」と言い部屋にあげた。

「かくかくしかじかで。明日どうやって話せばいいんだろう…。」と刃くんのことを話した。刃くんが岳くんのことを好きだというのは言っていない。

「うーん、まず俺を部屋にあげていいの?彼氏いるのに。」

「え?だって和哉は友達っていうか、もう家族同然。だからいいと思う。特に何もしないし。」

「わかんないぜ?」和哉はそう言って私をベッドに押し倒した。

「え、ちょっと…?」私が動揺する様子を見て笑い、「バーカ。冗談だよ。そんなことはしねぇ。」と私から離れた。

私は起き上がり、「だ、だよねー。和哉がそんなことしないよね。」と言った。

「まあとりあえず?刃ってやつには自分の伝えたいことを真正面から向き合って言えば?お前が無関係ってわけでもないと思うぜ。じゃあな。」

「あ、ちょっ…。」

和哉はそう言い家を出て行った。私は部屋の窓から「和哉ー!」と叫び振り返った和哉に「真正面から、話してみる!ありがとなーっ!!!」と叫んだ。

「おう!!頑張れよ!!」和哉はエアグータッチをしてきたので私もエアグータッチを仕返し、微笑んだ。

翌日。

今日は刃と三人で登下校する日だったがやはり避けているのか今日はいなかった。

私は昼休み、刃と話すために刃のもとに向かった。

「ちょっといい?」と話しかけると刃くんは「いいよ。」といい、私についてきた。

場所は生徒会室。

私は真正面から向き合って話し始めた。「君、岳くんのこと正直に答えて。」と言うと刃くんは「岳のこと?」と聞いてきた。少し説明が足りなかったと思い「好きなの?」と聞くと、動揺したのか刃くんは後退りをし、後ろのゴミ箱を倒していた。「あ、あー。友達として?」と動揺しながら答えていたので「動揺してる。丸わかりよ。」と笑った。

私は「とりあえず座りましょう。」と椅子に座って話した。すると正直に話してくれた。

「俺と岳は中学の修学旅行の時に知り合った。他校で、俺はその時は友達だったんだ。完全な。」

「うん。」

「でもある時、自分の気持ちがわかって。好きだって。でも岳には好きな人がいる。彼女がいる。俺は男。岳も男。だから俺はもう諦めた。でも、岳が隣にいる限り諦められない。恋心が暴走して、岳を傷つけることになる。俺はそれを避けたくて岳を避けた。もう一緒にいられない。」

私はこの言葉を覚えている。

「もう一緒にいられない。」この言葉を。結果、自分を、相手を傷つけることになるだけなのに。

私は「岳くんを傷つけないためにしている行動も、岳くんを傷つけるんだよ。そして刃くん自身も傷つく。私は岳くんの彼女だけど、私のために、岳くんのために恋心を消そうとしないで。諦めないで。立ち向かって。私は遠慮はしない。でももしここで諦めるんだとしたら、一生許さないから!!これは私と刃くんだけの秘密にしとく。だから、刃くんの恋心が暴走しても私が止める。これからは恋のライバル&刃くんを止めるお友達。親友。」と真剣な表情で、伝えたいことを全部伝えた。

「…うん。わかった。俺諦めない。」決心がついたのか、刃くんはとてもいい顔をしていた。

その後、「ごめん。」と岳くんに謝っていた。「俺のほうこそ。ごめん。刃が悩んでることとか気づけなくて…。」

「謝らないで!俺が悪いんだ。でも今日は自転車で来ちゃったから一緒に帰れないけど、今度は一緒に帰ろうね!」と刃くんは笑顔で答えた。刃くんが元に戻ってよかった。

文化祭まで、あと一ヶ月。

刃くんと岳くんがいい作品を作れるように、私がサポートしなきゃ。



第三者)

ついに話しましたね。刃の気持ちは岳はわからない。

でも、有紗という理解者がいる。

たとえそれがライバルでも、少しでも心の支えになるならば。刃の暴走を止める友達。

いいですね。もう一度言いますがみんなが幸せになることを祈ります…。

(有紗がまさかの腐女子という…私と気が合いそうですね。)

それにしても有紗いい人すぎないですか!

でも和哉…。要注意人物だ…。


次回!

文化祭!!!

次は文化祭メインで行きます!!

ぜひ見てください!

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