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転属先の住居

「銀河大戦? これはなんですか?」


「来月にリリースされるオンラインゲームだ。このゲームを使い、銀河連邦と戦う者たちを選別することになった」


「えっ? 冗談ですよね? 一般のゲームプレイヤーに艦隊を率いて戦ってもらうのですか?」


「過去二度の戦いでは各国の精鋭を集めた。しかし、勝負にすらならなかった。宇宙での戦闘は陸海空、どれとも違う。宇宙空間で戦う感覚を持った者が必要なんだ。銀河大戦は艦隊戦を忠実に再現している。このゲームで勝てる人間こそ、救世主、と結論が出たらしい」


「馬鹿げていませんか? 人類の存亡をゲーマーに託そうとするなんて…………」


「もちろん、異論はある。だから、各国で選抜された軍人たちにもこのゲームに参加してもらうことになった」


「それで私が選抜されたんですか?」


「そうだ」


「……先ほども言いましたけど、どうして、私なんですか?」


「別に君だけじゃない。自衛官の中から百名を選抜している。君は防衛大学校時代から、戦術戦略に関する論文をいくつもまとめ、それが高い評価を受けている。選抜方法の詳細はまだ説明できないが、戦績によっては君が連合宇宙艦隊の司令長官になる可能性があることも覚えていてほしい」


「宇宙艦隊の司令長官!? 私は女で、年齢だって二十五歳ですよ?」


「言っただろう。階級も、年齢も、身分も、国籍も関係ない。人類はもうそこまで追い込まれているんだよ。どうだ、受けるか?」


 理華は驚くばかりだった。

 しかし、驚きよりも高揚感の方が大きい。

 安定した職業は手に入れ、あとは親の借金を返すだけの平凡な人生だと思っていた。


(私はどこかで退屈していたのかもしれない……)


 理華の平凡な人生にとんでもないイベントが発生した。


「やらせてください」と理華は宣言する。


「宜しい」と村井一佐は言い、理華へカードキーを渡す。


「これは?」


「君がこれから住む家のキーだ。必要な物は全て揃っているし、生活必需品は無償で提供する。それから、今後は出勤も必要ない。君の生活の中心は『銀河大戦』だと思ってくれ」


「ゲームがリリースされたら、どうすればいいんですか?」


「まずはランクマッチを行ってくれ。いずれ、選抜方法を通達する。ただし、通達はかなり先になることを覚えていてほしい」


 理華は「分かりました」と言い、カードキーを受け取る。


 新しい宿舎の詳しい場所を教えてもらい、行ってみると立派なタワーマンションが立っていた。


「絶対に場違いよね……」


 理華は呟き、中へ入った。


「どうされましたか?」


 受付嬢は理華に対して、疑いの視線を向ける。


「えっと、これを見せればいい、と言われました」


 理華は不安になりながら、カードキーを渡す。


 するとすぐに受付嬢は警戒心を解いた。


「新しく地球防衛軍へ転属されたんですね」


「えっ?」


「驚くことではありません。ここは地球防衛連合軍が建築したビルですから。あちらのエレベーターにカードキーを差し込めば、釣野理華様の部屋がある階層まで行けます」


 理華は受付嬢に指示されたエレベーターへ乗る。


「こんな堂々と地球防衛軍の建物が立っているなんて知らなかったわ……」


 やがてエレベーターが止まった。

 ドアが開く。


 理華は廊下を歩きながら、カードキーに刻まれている部屋番号を探した。


「ここね」


 理華がカードキーをセンサーに翳すと、カチッという音がする。

 部屋の中へ入ると新居独特の匂いがした。


 理華は全ての部屋を確認する。


 間取りは2LDK。

 一人で住むには十分な間取りだった。


 冷蔵庫には食料が十分に入っているし、生活に必要な物も一通り揃っている。


 理華は落ち着くとさっそくパソコンを起動した。


 とりあえず、理華はここへ来た目的である『銀河大戦』のゲームについて調べ始める。


 理華は村井一佐から貰ったUSBメモリーをパソコンへ差し込む。


 USBメモリーには宇宙艦隊戦のセオリーとなる戦術の詳細が入っていた。


「サービス開始まであと一カ月、基本的なことは全部、頭に入れておきましょうか」


 それから理華は一カ月の間、宇宙艦隊戦の勉強をした。


 それといくら出勤が必要ないからって、生活習慣が乱れるのは良くない、と考え、朝に起き、運動をし、きちんと三食食べる生活を心掛けた。


 そして、あっという間に一カ月が経ち、『銀河大戦』のゲームがリリースされる。


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