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ご都合主義には裏がある  作者: おむすび公爵
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ウドの生活


 僕が住んでいるところは、リース街にあるマーレン商会、リース本店の倉庫だ。

 太陽が出ている時は、倉庫の隅にある特別なベッド(見た目は棺桶)で休んでいるか、地下で訓練をしている。


 太陽が沈んだら仕事の時間だ。

 本店に行き、運ぶものが入ったカバンと、運ぶところと運ぶものが書かれた紙を受け取り、村やマーレン商会の支店、お客様に届けるお仕事だ。


 街の外には、賊や魔物に襲われる事があるので、安全な道じゃない。

 襲われる事があるのはほとんど小鬼だけど、運が悪いと賊や強い魔物も出てくるので、安全に別の街に行く事が出来ない。


 僕なら小鬼くらいなら、5体以上集まってなければ倒す事が出来るし、小鬼が集まっていたり、強い魔物相手でも逃げる事は出来ると思う。


 倒した小鬼は、左耳を切り取り、専用の袋に入れて、冒険者ギルドに渡している。それでお金が貰える。


 配達する街に向かう時は、届けものが汚れたり破損するといけないので、なるべく無視しているが、リース街に戻る時は、魔物の気配の大きさ、数を気配察知で確認して、倒すのに問題がないなら、なるべく倒すようにしている。


 僕が行く時は夜だからか、賊の気配はあまり感じないが、必ず魔物の気配を感じる。


 魔物を倒した場合は、マーレン商会に行く前に、冒険者ギルドに行ってお金を貰う。

 

 僕は孤児だったし、辛い時に助けてくれた人がいた。

 それに、今は余裕があるので、小鬼を倒して貰えるお金は貯めて、孤児院に大した金額ではないけど寄付している。


 魔物━人を認識すると襲うもので、動物との違いは魔力があることだ。


 H級から始まり、G、F、E、D、C、B、A、S、SS級と魔物にランク付けしている。後者にいくほと強くなり、後者にいくほど同じランクでも強さの差が広がるみたいだ。


 A級以上の魔物には、襲わない魔物もいるらしい。


 武術を習っているカインさんに貰ったメモによると、ランク付けはこんな風に書いてあった。


 H級魔物 一般人が素手でも倒せる。


 G級魔物 ちゃんとした武器があれば一般人でも倒せる。


 F級魔物 このランクを一人で倒すと、冒険者見習いを卒業したと思われる。


 E級魔物 このランクを一人で倒すと一人前。


 D級魔物 攻略されたダンジョンの中層にいる魔物くらいの強さ。


 C級魔物 攻略されたダンジョンの下層にいる魔物くらいの強さ。


 B級魔物 対応を間違えると街が滅ぶ恐れがある魔物。攻略されていないB級ダンジョンの下層にいる魔物。


 A級魔物 小国が滅ぶ恐れがある魔物。A級魔物を倒すと国から栄誉が貰える。攻略されていないB級ダンジョンの最奥にいる魔物。


 S級魔物 倒すと伝説になれる。


 SS級魔物 SS級魔物自体が伝説。神様として敬われ、畏れられている魔物もいる。

 



 僕は吸血鬼としてはかなり弱いが、戦える方だと思う。今のステータスはこんな感じになった。


 名前:ウド 種族:吸血鬼


 LV :5 状態:正常 カルマ値:105


 MP :0 STR:0.935 DFE:0.569 AGL:1.363


 種族スキル:吸血 回復唾液 不老 日射耐性0 隠密 気配察知 吸血眼 吸血短剣


 Aスキル:マップ、逃げ足 


 Pスキル:気配察知 苦痛耐性


 DEFは一般人くらいだが、STRは領兵さん達くらいだし、AGLは領兵さん以上だ。

 レベルは5で魔力も無いが、魔力以外なら、冒険者の頃よりステータスの平均値は上がった。


 スキルも有用なものも多い。


 元から持っていたスキルで残ったのはマップ、逃げ足、気配察知の三つだ。

 マップは、僕から半径20メートルくらいの地図がわかる。

 逃げ足は、敵対するものから逃走する際に、走るスピードが上がる。


 気配察知は、目に見えなくても生き物の有無がわかる。


 種族スキルの効果は、よく分からないものばかりだが、分かっている効果だけでも良いものが多い。


 吸血はよく分からない。血が美味しく感じるようになる事くらい。

 生きている人に吸血するのは、愛情表現にもなるらしい。


 回復唾液はポーション代わりになるし、隠密は僕を認識しににくくなって、戦う頻度を下げられたり、先制攻撃をしやすく逃走にも便利だ。


 吸血眼は夜目代わりになるし、生き物の血の流れが分かるので、血が沢山でるところがわかる。

 魔物それぞれの弱点はわかっているものがあるが、そういう弱点と違った弱点?も分かるので、戦闘や逃走の助けをしてくれる。


 吸血短剣は、短剣に限ればの話だが武器が必要なくなるし、戦う時だけ使えばいいので、武器を携帯しなくて良いので便利だ。

 冒険者時代に使っていた短剣よりもかなり使いやすいし、切れ味も良いし壊れた事がない。


 気配察知は二つ持っているからか、前より広範囲で精度も上がった。


 吸血鬼になって一年くらいで、苦痛耐性のスキルを手にいれたが効果はよくわからない。怪我しても我慢できるようになったような気がする。


 スキル以外でも中級の罠くらいまでなら、発見と解除もできるし、冒険者時代にも短剣を使っていた。

 以前の僕でも、F級魔物くらいなら相手ができていたし、マーレン商会に入って一年くらいの間マーレン商会の護衛の一人、カインさんから短剣での戦い方や動きを習い、自分でも強くなったと思う。


 食事は血液だけで良いので、食事の必要はない。

 一週間くらいなら寝なくても大丈夫だったし、睡眠時間も短くて良い。


 そんな僕だが欠点もいくつかある。


 回復唾液は、太陽の光に当てると一瞬で無くなる事と、舐めないと治癒効果が低いため、自分以外には使いにくい。


 吸血眼の欠点は飲まなくても、血液の美味しさがわかる。

 美味しい血液は、女性、男性、家畜、動物、魔物の順に美味しそうだ。特に綺麗な女性や可愛い女性が美味しそうに見える。


 分かるだけなら良いが、綺麗な人(美味しそうな人)の首を見ただけで、貧血状態になりやすい。


 その為、街の中では首を見ないように、下を向きながら歩く事が多い。気配察知があるので、人にぶつかった事は今のところはない。

 仕事中に話す時は下を向きながら話すのは失礼なので、顔をあげている。


 不老の効果で身体的成長ができてない。もっと大きくなりたかった。


 吸血短剣は太陽の光に当たるとなくなるし、暗いところでも三十分くらい経つとなくなる。

 五本出すと貧血状態になるので、長時間の戦闘にはあまり向かない。


 いろんな欠点があるが、一番の欠点は日射耐性0だ。

 太陽の光に少し当たった事があるが、大変な目にあった。


 ワグナー街にあるダンジョンの二階層入り口で、試しに陰から手を出した事がある。すると手から激痛が走り、急いで手を陰に戻したが手が溶けていた。


 溶けた手は舐めて、暫く舐めていると元に戻ったので本当に良かった。入り口でずっと手を舐めるてるので、横を通る人の目はキツかったが…。


 もし顔に太陽の光を浴びてしまうと、僕は死ぬと思う。


 ワグナー街のダンジョンの二階層みたいに、ダンジョンの階層の中には、疑似太陽みたいなものがある階層が多数あり、夜になる事がない階層もある。


 ブライト王国にあるダンジョンは、上層にそんな階層があるダンジョンしかない。


 冒険者の大きな収入源の一つが魔石を売ったお金だ。

 魔石はダンジョン魔物を倒すと消えるが、必ずドロップアイテムが出てくる。運が良いと魔石が出てきて、その値段は高い。

 魔石は、下層に行けば行くほど出やすいし、下層のドロップアイテムも高額で売れやすい。

 

 そんな大きな欠点があるので、騎士になる事は諦めた。

 そもそも吸血鬼は、領兵になれないような気がする…。


 吸血鬼の食事?といったら、やはり血だ。元の食事もでき、美味しく感じる事ができるが、無くても死にはしない。

 だが吸血鬼は貧血状態が長いと飢餓状態になる。

 飢餓状態に近い事に一度なった事があるが…二度となりたくない。


 ブライト王国に来て、マーレン商会に入るまでの二年くらいは大変だった。


 上層のドロップアイテムだけでは生活できなかったので、日没になると、街の下水道で寝て、寝た後に、冒険者ギルドに行って、クエスト表を見て配達クエストがあれば別の街や村まで行って、お金を稼いだ。

 いつも、配達クエストがあるわけではないので、ないときは、街の周りの魔物を討伐する常駐クエストをした。


 クエストが終わると、日の出前にダンジョンに行き、上層のドロップアイテムを集めた。


 それまで、稼いだお金や、冒険者時代に貯めていたお金を使って、ワグナー街のガース商会から、高い値段で動物の血を買ったり、買えないときは常駐クエストで小鬼の血を飲んでいた。

 動物の血は普通に飲めるが、小鬼の血はとても不味い。小鬼の血を飲んでいると、味覚が壊れる。それくらい不味い。


 二月前、配達クエストを依頼したところが、マーレン商会だった。

 とても、大事な配達物みたいだったので、助かりました。と商会長のリースさん、自らお礼を言われた。商会長はとても綺麗だったので、危なかった。


 マーレン商会から貰えるお金は多いし、安全に休む事や清潔に生活出来るようにもなった。

 それらの事はもちろん嬉しかったが、一番嬉しかったのは、タダで血液を貰える事だ。


 運ぶ街は日によって違うので、次の日が休日じゃないとリース街に帰らないといけない事が少しだけ、大変だが充実した生活している。

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