プロローグ「始まりのはじまり」
今回からちゃんとした連載をしていきます。よろしくお願いします。
―――これは本当にまずいことになった。
暗い洞窟のようなところで謎の液体を吐き出しているのがわかる。
逃げようとするも足の感覚がない。
足元を見てみるが、足だと思う場所に足がなく液体が広がっているだけだった。そして身体に激痛が走った。
―――痛い、痛い、痛い、痛い。
その痛みは、足の痛みではなかった。
心臓が引っ張られているような感覚で、胸をむしり取ろうとしていた。
だがここであることにきずく
―――あれ?手、なくね?
足がないことに気を取られ、手がないことに一切きずいていなかったのである。
そしてキラキラとした液体がごぽごぽと出てきていた。だがその液体は何なのか全くわからないままだった。
謎の液体が全てできったと思ったら、今度は胃のものが上に上がってきてしまった。
ものすごい吐き気と激痛に襲われ、まともに呼吸ができなくなってしまった。
―――俺……ここで…死ぬのか?
本当に死んでしまう程の激痛が走っている。普通ならもう気絶くらいはしててもいいと思う。
だが気絶もしないし、何より意識ははっきりとしている。自分でもびっくりしている。
もちろんそんなこと気にしてられないほど『死』がものすごく近い。
手足がなく身動きが全然取れない状態にあり、謎の液体も出きっている。そして胃には何も残っていない。とてもじゃないが生きれたものじゃない。
これが巷で話題の『詰み』というやつだろうか。
そんなことを思っていると、ついに意識がもうろうとしてきてしまった。
これで死んだらどうなるんだろうとか、色々考えて意識を持とうと抗ってはみたが、そういうことを考えられなくなり、段々と意識がとうのいていくのが分かった。
―――あぁ…そろそろ限界なのかな?
完全に倒れこんでしまい、顔面に岩のように固い地べたの土がつく。
もう眠ってしまおうと思ったその時、かすかな女性の声が耳の奥底に響き渡った。
「―――よう!―――に――るの?」
そんなかすかな声だったが、はっきりと聞こえた。
自分のことを探しに来ていることに。
少しでも声を出そうとしたが、のどは嘔吐物に阻まれて声が出てくれなかった。
―――くそが…出ろよ声
何とか最後の力を振り絞って、身体動かす。
するとかすかな砂の音と声が出た。
「お…れは…こ…ここ……」
何とか声が出せたが、女性には届かなかったようで、声は遠くになっていく。
終わった。これで完全に詰んでしまった。
もう後は死んでいくのを待つだけになってしまった。
―――もうちょっとで助かったかもしれないのに……いや、どっちにしろ無理か
ついに今まで頑張って保っていた意識がなくなった。
そして俺、中出比斉夢は死んだ。
読んでくださった方々ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。