表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベルってなんですか?  作者: Nombre
第一章「ウォロ村」
7/244

第五話「レベル」

 俺は脳をフル回転させる。

 レベルというものは知っている。元の世界で散々聞いてきた単語だ。

 しかし、俺の指輪で表示できるスキルボードにレベルの表示はない。


「アレンよ、お前は違う世界からきたのか?」


 目の前の男がそう言うと俺の頭はパニックになる。

 俺は昨日の夜に考えていた『俺、記憶喪失なんです』という言い訳を披露することなく、反射的にうなずいてしまった。


 この男、どこまで分かってるんだ?


「そうか、レベルを知らない甦人とは珍しいな」

「ステータスオープン」

「アレンよ、同じように唱えてみろ」


 俺がうなずくと、男の表情が少し和らぎ、続けて聞きなじみのある言葉を教えてくれた。


「……ステータスオープン」


 俺は小声で教えられたとおりの言葉を唱える。


 それ昨日試したんだけどな……


「レベルとステータスの数字が見えるだろう?」


「……見えないです」


 俺は小声で答える。


 男は一瞬驚いた表情をしたがすぐに落ち着いた表情に戻った。


「この世界には時々、甦人が現れる」

「それは珍しいことではない」


 俺はその言葉に少し安心する。


「しかし、自分のレベルが分からないものは甦人を含めてこの世に存在しない」

「この世界では生き物はおろか植物にまでレベルが存在する」

「それ故、アレンにレベル自体がないとは考えづらい」


「……アレンよ、この世界にきてからモンスターに会ったか?」


 俺は首を大きく横に振る。


「そうか」

「ならば昼飯を食べた後、ケイたちと一緒に遊びに行くがよい」

「あと、このことは誰にも言わない方がよいぞ」


 そう言い残すと男は奥の部屋へと姿を消した。

 そして俺はまた一人、取り残された。


 ……ケイって誰だ?


 今まですれ違った村人たちの顔を思い出しながら、俺は立ち上がり扉を開けようとする。


 ゴツンッ


 体重を乗せて開けた扉の向こうから鈍い音がした。


 慌てて扉を閉め、再びゆっくりとドアを開けると鼻を抑えている少女がいる。

 あのチクり娘だ。


「オムおじちゃんとなに話してたの?」


 自己紹介が無かったが、やはりあの男は村長だったようだ。


「昼ご飯たべたらケイたちと遊びに行けってさ」


 俺がそう答える外に出て扉を閉めながら答える。


「やったー!」


 チクり娘が急に喜んだ。

 どうやらこの子の名前がケイというらしい。


「お昼ご飯まだだからお家でくつろいでていいよ!」


 そういうとケイは走り去っていってしまい、あっという間に姿が見えなくなった。


 ……まったく忙しい子だな

 それにしてもなぜケイは鼻をぶつけたんだろう。

 話を聞きたいのなら普通、扉には耳をくっつけるのに……


 そんなことを思いながら俺はゆっくりと家に戻った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ