第七話「不審者?」
目の前にいる男の人はケイの頭をなでながら不審の目でこちらを見ている。
スムーズに自己紹介をしたいが、急な出来事すぎて言葉がつっかえて上手く出てこない……
そもそも俺はケイの何だ?
友達ではないし……保護者か?
「アレンだよ」
ケイのその回答はあまりにも不十分すぎる。
「カイくんはどうしたの?」
男性はケイに当然のようにカイの事を尋ねた。
ケイの顔がだんだんと曇っていくのが分かる。
このままだとせっかく取り戻したケイの機嫌がまたどん底に落ちてしまう。
「……っちょっと待ってもらっていいですか?」
「とりあえずあそこに行きませんか?」
俺はたまたま近くにあった公園を慌てて指差した。
「……わかりました」
男性はケイの手を引いて公園に向かい、俺はその後に続く。
公園では少年たちがサッカーをしていた。
「……ちょっと二人で話したいからケイは遊んでていいよ」
俺がそう言うとケイはトボトボと離れていった。
男性は近くにあったベンチに腰掛けたので、俺も隣に腰かける。
「それで……どちら様ですか?」
男性の不審の目が更に強まった気がする。
こののままだと通報されてしまう。
「えっとですね……」
俺は自分が甦人だということ、ケイと出会いウォロ村にお世話になっていたこと、黒い鬼によって村が壊滅したこと、そしてカイが死んだことを懇切丁寧に順序立てて話した。
「そうだったんですね……」
「申し遅れました、私はジェイコブと申します」
「気軽にコビーと呼んでください」
「私は月に一度、ウォロ村へ物資を運ぶ行商人をしていた者です」
男は申し訳なさそうな顔をしながらお辞儀をした。
「あ、どうも、初めまして……」
この人がオムさんの言っていた行商人だろう。
悪い人ではなさそうだ。
「もう一度確認しますが、村は黒い鬼に襲われたんですね?」
俺はしっかりと頷く。
「……わかりました」
「ところで、アレンさんとケイちゃんはこれからどうするつもりですか?」
コビーさんはチラッとケイの方に目線を向ける。
俺もつられてチラッとケイの方を見ると、ケイは少年たちとサッカーをしているのが見えた。
子供のコミュニケーション能力はすごい。
「そのことなんですが……コビーさんの所でケイを預かってもらうことは出来ませんか?」
「先程も話したように僕はまだこの世界にきてからまだ一週間しか経っていません」
「なのでケイの世話しながら暮らすのは正直難しいです」
俺は不慣れな敬語でコビーに頼む。
「そうですね……ちょっと難しいですね」
「というのも私の仕事上、一つの街に居座ることはないので、それこそケイちゃんの負担になってしまいます」
「それに明日にはこの町を出てアグリテジアという町に行ってしまうので……」
「申し訳ありません」
コビーさんは再び頭を下げた。
「いえいえ、こちらこそ無理を言ってすみません」
俺はコビーさんよりも深く頭を下げる。
「……ところで、レゼンタックという場所を知っていますか?」
俺は頭をあげるのと同時に質問する。
早く聞いとかないとまた忘れてしまう。
「レゼンタックなら今から向かう所でしたよ」
「一緒に行きますか?」
「はい、お願いします」
運が良かった。
「では、ケイちゃんを呼んできますね」
コビーさんはそう言うとベンチから立ち上がり、ケイの元へ小走りで向かった。
「ふぅ……」
俺はベンチに座ったまま空を見上げる。
この黄色い空にも段々と慣れてきた。
「……あーあ」
「めんどくさいなぁ」
俺は反動をつけてベンチから立ち上がり、ゆっくりとコビーさんの後を追った。




