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第一章「ウォロ村」
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第一話「転生」

 俺は草むらの上で目を覚ます。

 さっきの出来事は夢だと思ったのだが、目を開けた瞬間に自分の置かれている状況を理解した。


「はぁ……」


 ため息しか出なかった。

 俺は異世界にいる。


 なぜ俺は異世界に転移したことが分かったのか。

 理由は3つある。


 一つ目は俺はアニメが好きだった。

 俺は受験勉強のBGMとしてアニメを流していたのだが、次第にその魅力に惹かれていき、最近は異世界転生がテーマのアニメがマイブームとなっていた。

 しかし、あの大好きなアニメはもう見れないだろう。


 二つ目に俺は俺が死んだことを自覚している。

 なぜかと言われたら答える事が出来ないが、あの感覚は【死】そのものだった。

 仮に元の世界に戻れる方法があるとしても19年使った身体は既に火葬されて墓に埋まっていると思われる。

 アーメン。


 三つ目は俺が瞬時に異世界にいることを理解できた最大の要因だ。

 空が黄色い。

 雨上がりの夕暮れ、空が黄色のようなオレンジ色のような色になるのはたまに見かけるが、この空のどこにも雲は見当たらない。


 さて、どうする。


「……」


 とりあえず記憶の確認と所持品チェックをすることにしよう。

 スーツは着ているので使えそうな物がポケットに入っているかもしれない。


 俺の名前は……


 名前は……


 あれ?

 名前が思い出せない。


 たしかKから始まったような気もするがHから始まる気もする。


 ……名前がないのは困るな。

 この先、人に出会うかもしれない。


「……アレン」


 俺は静かな森の中で小さく呟いた。


 昔に観た映画の主人公がたしかこんな名前だった。

 俺はこれからアレンと名乗ろう。

 何より響きがカッコいい。


 名前を考えている時に一つ気づいたことがある。

 俺は完全に記憶を失っているわけではないということだ。

 しかし、人の名前と姿の記憶だけが抜け落ちている。

 家族で旅行に行ったことや友人と遊びに行ったことは覚えているが、その人の名前や姿が思い出せない。

 まあ元の世界に戻るつもりもないし、あまり気にかけることはないだろう。


 さて、所持品チェックでもするか。

 全裸で転移されていないのは運が良い。


 まずはポケットに手を入れる。


「……」

 

 財布しか入ってない。


 いや、おかしい。

 ポケットには携帯が入っているはずだ。


 空を見上げながら朝の記憶をたどる。


「……」


 多分……ベッドの上で充電器に繋がっている。


 携帯が異世界で繋がるとか繋がらないとかいう期待はそれ以前の問題だった。

 俺は朝の俺をさらに恨む。


「さらば、愛しの携帯」


 俺は静かな森の中で再び呟いた。



 ポケットから手を抜くとき、指が何かに引っかかる。

 虫かと思い、慌てて手を引き抜き確認すると、俺は身に覚えのない指輪を着けていた。

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