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第一章「ウォロ村」
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第二十七話「決意」

「オムさーん」

「いるー?」


 俺がオムさんの名前を呼ぶと奥の部屋からケイが出てきた。


「あ!」

「アレンだ!」


 ケイがこちらに駆け寄ってくると、奥の部屋からオムさんがのっそりと出てくる。


「どうした?」


 オムさんは少し面倒くさそうな顔をしていた。


 ケイと遊んでいたのを邪魔してしまっただろうか。


「このあたりにスライムとリベイロとカテラ以外のモンスターっている?」


「いないな」


 俺の質問にオムさんは躊躇いもなく答えた。


「そうなんだ……」

「それでさ……相談というか、なんというか、今後の事なんだけど……」

「結論からいうとこの村を出ていこうと思ってる」


 俺はケイの頭をなでながらオムさんの目を真剣に見つめる。


「ふむ……」


 オムさんが目を閉じて考えている一方、ケイが真っすぐな眼差しでこっちを見てくる。


 俺が村から出ていくのが嫌なのだろうか……


「ケイ」

「カイを呼んできてもらえるか?」


「わかった……」


 ケイは少し低い声で答えると、扉も閉めずにトボトボと家から出て行った。


「カイからお前が急激に強くなったのは聞いている」

「しかし、この村にいた方が安全だぞ」

「それは分かっているのか?」


 オムさんはいつもと違い、真面目な顔をしている。


「アクティベイト」


 俺はスキルボードを表示させた。


「それはなんだ?」


 オムさんは驚いた顔でスキルボードを指差した。


 『ステータスオープン』でオムさんが見えているものは俺には見えなかったが、『アクティベイト』で表示されるスキルボードはオムさんに見えているようだった。

 

 俺はスキルボードをオムさんに見せ、SPの事やこの村ではこれ以上強くなれないことを説明した。



「それにしても、この村にきた時からその左手の奇妙な指輪は気になっていたが、そのような力があるとは驚いたな……」

「しかしだ、アレン」

「強くなれる理由があっても強くなる必要はない」

「この村で安全に過ごす選択肢もある」

「それでも行くのか?」


 正直、この村で平和に過ごす選択肢はとても魅力的だ。


 しかし、俺は強くなるあの快感を覚えてしまった。

 それに、俺はこの世界のことやこの指輪のことをもっと知らなければならないと思う。


 だからもう答えは決まっている。


「それでも行きたい」


「わかった」


 もう少しなにか言われると思ってたが、オムさんは意外とあっさり快諾してくれた。


 しかしこれは単なる報告であり、ダメと言われても出ていく決意は出来ている。


「それとアレン」

「その指輪の事は誰にも話してはダメだ」

「それがたとえ信頼できる人だとしても、なるべく控えた方がいいだろう」


「お前が今後、旅を続けるならば、ギルセリアという国のアルキミアという街を訪れるとよい」

「その街ならば、その指輪についてなにか分かるかもしれない」


「ありがとう」

「ステイ」


 俺がスキルボードを閉じると同時にケイとカイが家の中に入ってくる。


「なんだよオムじい」


 少ししょげているケイの横でカイはいつも通りの顔をしている。


「いいからこっちにこい」


 オムさんは手招きをして二人を近くに呼ぶ。


「ケイ、カイ」

「二人はアレンと一緒にこの村を出なさい」


「……?」


 四人の間に数秒間、静寂な空気が流れる。


「え?」「え?」


 俺とカイが声をそろえる横でケイの顔に少し笑顔が戻った。

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