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第三章「レゼンタック」
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第九十七話「予後不良」

 ここはどこだ……


 唇になにか感触が……



 俺は状況を理解したと同時に慌てて起き上がろうとする。


「うわっ……、あ!アレンさん!大丈夫ですか!」


 起き上がると目の前にはボースンの息子がいた。

 寝ていた場所は甲板の上のようだ。


 口元から透明なシートがはらりと落ちる。


「……よかったぁ」


 俺はそう呟くと青い空を見上げた。


「アレンさん!本当にすみませんでした!」

「全部の僕のせいです!」


 そう言いながらボースンの息子は俺の前で甲板に頭をつける。


「……名前なんだっけ?」


「マルセアといいます……」


「マルセアくんが俺の事を助けたの?」


「はい……」


 マルセアくんは申し訳なさそうな顔をしながら頭をあげた。


 右腕に目を向けると、綺麗に包帯が巻かれている。

 不思議とそこまで痛みもない。


「あの、もし痛みを感じたら言ってください」

「痛み止めなら自分用のをたくさん持ち歩いているので」

「包帯はきついと思うのですが止血のためなので……、すみません」


「うん、許す」

「それでノアは?」


 目覚めた時、ノアが目の前にいると思っていたのだが姿がまるっきり見えない。


「港に着いてすぐ救急病院に運ばれました」

「アレンさん用の担架ももうすぐ来るはずです」


 マルセアがそう言うと、すぐに十字マークを着た人が担架を持って走ってきた。

 俺はされるがままに担架に固定されていく。


「マルセア君、病院に向かいながら説明してくれる?」


「……わかりました」




 マルセア君の話によると、まずノアは生きている。

 しかし、かなりの重症らしい。

 脂肪が少なく筋肉が多い身体は電気を流しやすく、海水の中にいた状況も相まってノアは皮膚はもちろん筋肉や内臓、心臓にもかなりの電気が流れた。

 結果、全身に火傷を負い内臓も損傷、心停止からは回復したが意識は戻っていない。


 しかし、驚くべきことはノアがケーブルを離さなかったことだ。

 マルセア君はノアの状況に気づくとすぐさまケーブルに流れる電気を止めて巻き上げた。

 その間もノアはケーブルを握り続け、甲板に上がってきてようやく手を離したらしい。


 俺に関してはマルセア君が自ら海に飛び込み、血を辿りながらすぐに見つけてくれた。

 そもそも俺があんな無茶をしたのは、海面から顔を出した時に船の上にいるマルセア君と目が合ったからだ。

 俺を見つけたマルセア君は海中で止血を済ませてくれたおかげで、そこまで出血の量は多くなかった。

 といっても俺の右腕は肘関節の骨が砕け、皮だけで繋がっている状態だ。

 病院の診断によっては切断もありえる。


 さすがに無茶だったか……




 俺は病院に運ばれるとすぐにマルセア君と一緒にベッドの上から逃げた。


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