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第三章「レゼンタック」
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第八十八話「ディーゼル」

 プーーーーー


 汽笛の合図とともに、辺りがすこし騒がしくなっていく。


 シューーーキュルキュルキュルキュキュキーーー


 エンジンの音が操舵室の中まで響いてきた。

 回転数が上がっていくのを肌で感じる。

 この感覚、懐かしい。



「沖に出る前に一通り甲板にいる連中らに挨拶してから監視塔に上がってこい」

「先に行ってるぞ」


 ノアがそう言い残し、操舵室にある階段を上っていくと同時に船体がゆっくりと動き出す。

 俺はノアと別れ、階段で甲板に降りた。



 出航を終え作業が落ち着いてきたのか、甲板上は操舵室で見ていたよりも慌ただしくない。

 この程度の揺れならば船酔いも大丈夫そうだ。


 最初はボースンに挨拶かな……


「ボースンさん、改めて今回はよろしくお願いします!」


 俺はボースンの姿を見つけると、頭を下げないようになるべく元気を装って挨拶をする。


「なんだ、聞きたい事でもあるのか?」

「用が無いなら邪魔だからウロチョロするんじゃねぇ」


 無駄な挨拶はいらないってことか……

 怖い事には変わりないが、操舵室にいた時よりも表情が少し柔らかい気がする。

 単に日光が当たっているからか?


「いえ、あー……、甲板ってどのくらい丈夫ですか?」


「ノアの小僧が踏み抜いた事はなかったから安心して良い」


「そうですか、それなら安心ですね」


「分からない事があれば勝手に行動せずにまず俺に聞きにこい」

「わかったな?」


「イエッサァ」


「ふんッ……、まぁいい仕事に戻れ」


 ボースンとの距離感もなんとなく分かってきた。

 ノアと同じようにしている分にはたぶん大丈夫だ。

 海の男は心が広い。



 俺は甲板上にいる作業員に手あたり次第に挨拶をし終えると、監視塔にあがる前に甲板の手すりに寄り掛かる。


 風が気持ちいい。

 やっぱり野原より海だな……

 お墓は海が見える場所にしよう。


 しかし海鳥が飛んでいないのは少し残念だな……



 プーーーーー、プーーーーー、プーーーーー


 ブウォンブウォンブィンブィンビリビリリリーーー


 汽笛が三回鳴ると同時に空気が振動し始めた。

 先程まで一息ついていた作業員たちの様子も再び慌ただしくなってきた。

 甲板から身を乗り出して海を覗き込むと、海水が船体にせりあがってくるのが見える。


 沖に出る水門が近い。

 そろそろ監視塔に上がるとするか……


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