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第三章「レゼンタック」
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第七十九話「ペット許可申請」

「ちょっとケイさん」

「先程から眩しいのですが……」


 今日の昼までに提出しなければならない報告書を早起きして書いているのに、さっきからケイが日の光を鏡に反射させて邪魔してくる。


「アレンまたお仕事お休みするの?」


「休みたくて休んでるんじゃないんだよ」


「でもアレンが悪いんでしょ?」


「うん……」


 こっちが強く言えないからって……

 もうおつかいに行ってやらないからな。


 それはそうと、あの事を確認しておかなければ……


「あのさ、ケイってモンスター好き?」


「嫌い」


「猫みたいなやつは?」


「猫ってなに?」


「あー……、それじゃ小さいのは?」


「大きいとか小さいとか関係ないよ」

「なんで?」


「いや、なんでもない」


「ま、やんちゃするのは良いけど私を巻き添えにしないでね」

「それじゃ仕事行ってくるから、バイバーイ!」


 ケイはそう言い残し、新品のカバンを持って部屋を後にした。



「仕事行くならもっと落ち着いた服着ろよ……」


 俺の声が静かな部屋でシーンと響く。


「はぁ……、出てきていいぞ」


 俺がそう言うと部屋の隅に掛けていた俺のスーツのポケットから召喚獣が顔を出す。

 亀猿との戦闘で召喚獣のレベルは82になり<気配遮断>を覚えたおかげで、アメリアさんにもノアにもケイにもまったくバレることはなかった。


 俺は傍に寄ってきた召喚獣をそっと抱きしめる。


「俺の味方はお前だけだよ……」



 しかしいつまでも隠しておくわけにはいかない。

 迷惑になる前にペット許可申請を取りに行こう。


 俺はスンッと立ち上がり召喚獣をポケットに入れて部屋を出ると、階段を降りてヒナコの部屋に向かった。



 コンコンッ


「どうかした?」


 俺がノックをすると部屋の中からヒナコの返事が聞こえる。


「ちょっといい?」


「いいよ、入って!」


 部屋の扉を開けるとヒナコが散らかった部屋の真ん中でちょこんと座っていた。


「あのさ、ヒナコってモンスター好き?」


「うーん、嫌いかなー」


「猫は?」


「好き!」


「じゃあ猫みたいなモンスターは?」


「うーん、よくわかんないかなー」


 ヒナコは目をぱちぱちさせながら、何も分かっていない目でこちらも見てくる。



 よし、覚悟を決めるんだ。


 俺は膝と手のひらを床に付いて前傾姿勢になると、ポケットから召喚獣を出す。


「この子をこの家で飼わせてください!」


 俺はヒナコの顔を見ずに目を伏せたまま返事を待つ。



「……この子安全?」


「はい、安全でございます」


「えーっと、触ってもいい?」


「仰せのままに」


 俺は召喚獣に最大限ヒナコに甘えるように心の中で指示する。


 ヒナコが召喚獣を手に抱えたのを感じると、俺はゆっくりと顔を上げた。


「……この子名前は?」


「まだ決めてないです」


「じゃあ私に決めさせて」

「それだったら良いよ」


 ヒナコは目をハートにしながらそう言うと、召喚獣の頭をなで始めた。



 思った通りチョロかったな。


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