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第三章「レゼンタック」
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第七十八話「事件終息」

「ハリソン、歩けるか?」


 ハリソンの身体に大きな傷は見られないが、ズボンに大きく血が滲んでいる。


「無理だ、骨が折れてる」


「じゃあお姫様抱っこな」


 俺も掴まれた時におそらく骨にひびが入ったが、ハリソンほどではない。

 それに、あの辱めを味わわせられるならこの程度の痛みなら我慢できる。


「くッ……、たのむ」


 ハリソンが顔をしかめながらそう言うと、俺はハリソンをお姫様抱っこし歩き始めた。

 召喚獣は既に俺のスーツのポケットに戻っている。



「それにしてもなんで新種と戦闘してたんだ?」


「あぁ、荷を引いた行商人が襲われそうだったんだ」

「だから発煙筒を渡して逃がしてやった」


「なるほどね……」


 ということは川に沈んでいたのはその行商人が使った物だったか。


 だが、付近に散らばった荷物はなかったよな……

 全部持って逃げたのか?

 まったく強欲なやつだな……



「アレン、そのモンスターはなんだ?」

「お前はテイマー職じゃなかっただろ?」


「あぁ……、なんというか懐かれたんだよ」

「人を襲ったりはしないから安全……、だと思う」


「まさか壁の中に持ち込むつもりじゃないだろうな?」

「壁の中では生きたモンスターを運搬するだけで豚箱行きだぞ?」


 ハリソンの言う通り壁の中にモンスターを持ち込むのは違法だ。

 基本的にはあの白い狼のように壁の外にある厩舎で飼わなければならない。


 だがウィリアムさんから聞いたところによると殺気や敵意を察する<特能>はあるがモンスターの存在自体を察し、位置を特定するような<特能>は無い。

 そのため、隠れて家の中で飼っている人も意外と多いらしい。


「もちろん、持ち込むつもりはないよ」

「大丈夫、大丈夫、ハハハハハ……」


 嘘だ。

 もちろん部屋で飼う。

 雨ざらしなんてかわいそうだからな。


「俺は一応言ったからな?」


 ハリソンは何かを察したような目つきで俺を睨むと、呆れた顔でそっぽを向いた。




 俺はレゼンタックにハリソンを届けると、受付にいたアメリアさんに一旦怒られ、認識票を返そうと4階に戻ると既に帰っていたノアに再び怒られた。

 そして俺は怪我の治療と反省の意味を込めて一週間の自宅待機になった。


 今回の新種の同時発生の原因は分かっていないが既に調査チームが組まれたらしい。

 人為的に発生したとは考えられないが、あまりにも不自然とのことだ。

 参考人として軽く事情聴取を受けたが、あの時とは違ってスムーズに帰路に着くことが出来た。



 それにしてもまた仕事が無くなったな……

 短剣のメンテナンスもしなくちゃいけないし……


 しばらくケイの機嫌を悪くしないように頑張ろう。

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