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第三章「レゼンタック」
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第七十二話「スライム鳥」

「……了解しました」

「……視認限界距離まで離れ、偵察を続けてください」

「……種の特定は可能ですか?」


「はい、おそらくカポウツェロとスライムです」

「疾患は今のところ見られず、変異種ではなく新種の可能性が高いです」

「えーっと、壁に張り付いてるんですけど偵察で大丈夫ですか?」


「……現状、新種または変異種が同時6か所で確認されています」

「……そのため責任者の到着が遅れる事が予想されます」

「……単独で壁から引き離すことは可能ですか?」


 うーん、単独か……

 この場合って確か最終的には生け捕りしなきゃいけないんだよな……


「殺すのはダメですよね?」


「……可能ならば生け捕りでお願いします」

「……ただし10-0の許可はしておきます」


「10-4」

「……よし!」


 俺は通信機を腰に戻すと、再び壁に向かって目を細める。


 さて、どうするか。

 どう見ても50m以上の高さはあるよな……



「お前、登れ……」ビュンッ!!


 俺が目線を落として召喚獣に呼びかけた瞬間、召喚獣は重力を無視したような挙動で壁を駆け上がっていく。


「おぉ……、すごいな……」


 これはおそらく『同調』のおかげだ。

 思っていたよりも良いかもしれない。



 しかし次の瞬間、俺は上空から振ってくる大きな影を避けるために大きく後ろに下がった。


 ババーンッ!!


 落下してきた二つの物体はピクリとも動かない。



「……死んだ?」


 俺が様子を確認するために三歩近づくと、青色の物がぐにゅんとうねり出す。

 しかし、俺の召喚獣は地面に寝たままだ。


「<弱点感知>」


 やっぱりあれが核か……

 先程から青く透けた身体の中で何かが動き回っているのが見えている。


 俺は腰から短剣を抜き、左手を自由にした状態で身体の正面で構えた。

 召喚獣が動かないということは何か毒を持っている可能性があるので、攻撃は全て避けるつもりでやろう。


 スライム鳥は俺に気づいているようだが、攻撃の体勢は取ろうとしない。

 そもそも、あのスライム鳥は飛べるのか?

 飛べるとしたらかなり厄介だが……


 とにかく、今は壁から離すのが最優先だ。

 まずは注意を引き付けよう。


 感覚はもう戻っているので心配はない。



「……っし!」


 俺は短剣を正面に構えたままスライム鳥に向かって一直線に足を踏み出し、間合いに入った瞬間、右上から左下にかけて袈裟に切りつける。


 ヂュリュン


 俺は手ごたえを感じると同時に距離を取り、召喚獣に近づく。


 召喚獣はまるで毛皮の絨毯のように足を外側に開いて倒れている。

 おそらく毒ではなく落ちた衝撃で関節が外れたか、最悪骨折をしているのだろう。

 そもそも召喚獣も変異種と同様に先天的な疾患を持つことが多いので関節が元から弱いのかもしれない。


 さて、スライム鳥の核は外したが……どうなる?



 グリュグリュグジュグリュッ


 スライム鳥が物凄い殺気を放つと同時に俺が付けた傷口が暴れるように動き出す。


「……うん、ちょっと、やり方を間違えたかもしれないな」


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