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第三章「レゼンタック」
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第六十八話「マラソン大会」

 今回のマラソン大会で俺が走る特能無制限の部のルールは


 ・距離42.195㎞(東門から壁内を一周)

 ・制限時間2時間

 ・北門、西門、南門にあるチェックポイントを順番に通過する。

 ・他害行為禁止


 の三つだ。


 公式では距離42.195㎞となっているが、毎日壁の外を走り回っていた身からすれば実際はもっと長いような気もするが大きな問題ではない。



 あとはノアにどうやって勝つか……


 実際ノアはあの筋肉から生み出される圧倒的な瞬発力はあるものの、トップスピードは俺と同程度だろう。

 その瞬発力も並び順のおかげで阻止されている。


 あとは体力的な問題だが、75%程度の力でペースを守れば何とかなる気がする。

 どっちみち全力は出せないからな……


 つまり、最初で差をつけその差を守り続ける。

 ノアが俺より前に出て<遁走>の効果が切れた時点で俺の負け。

 楽観的な作戦かもしれないがこれしかない。


 まぁ、トレバーさんには余裕で勝てるだろう。



「いちについてー」

「よーい」


 拳銃を持ったスターターの声と同時に、俺は地面に両手を付いてクラウチングスタートの体勢を取る。


 パンッ



 俺は発砲音と同時に先頭にに飛び出し、若干の遠心力を感じながら一歩二歩と地面を蹴り出す。


 俺と同じ事を考えて飛び出した人に若干並ばれたが、40秒を過ぎる頃には二位集団と100m以上の差をつけて先頭に躍り出した。

 ノアの姿はまだ見えない。



 あとは前傾姿勢だった体勢から身体を起こし、ペースを守れば勝てるはず……




 ……もうすぐ30分か。


 予想外の大きな歓声によって気分が上がっているのか、あまり疲労を感じないまま残り四分の一の距離まできた。

 家でゴロゴロしていた分、この人間離れした感覚がなつかしい。

 二位集団の姿はとうの昔から見ていない。


 ズザッッ


 突然、急激なだるさを感じると同時に足から力が抜け、前のめりに転びそうになる。

 ……<遁走>が切れた?


 しかしノアに抜かされたわけではない。

 距離を離しすぎたか?


 目の前に見える西門に人が集まっている。

 あの集団はなんだ?


 バンッ、バンッ、バンッ、バンッ……


 <遁走>が消えた事による感覚の誤差を埋めながらなんとか西門に辿り着いた時、身体に力が戻ると同時に大きな足音が微かに聞こえてきた。


「よおアレン!」

「調子はどうだ?」


「……ずいぶん足を汚したね、ノア」


 くそ……

 壁の外はルールの範囲内か……


 だが<遁走>の効果は戻ってきた。

 残りは短い。


 俺はニコニコして横に並ぶノアの前に出ようと脚の回転数を上げる。

 ノアは息を切らさずにまた俺の横に並ぶ。




 ……観客の声が大きくなていく。

 ……ゴールが見えてきた。


 俺はノアの前に出るためにさらに足の回転数を上げる。

 ノアは息を切らさずにまた俺の横に並ぶ。


 だがノアは息は切らしてはいないものの、顔を見るに全力に近い速度で走っているようだ。


 残り100m。

 最後の一歩だけ全力を出す。

 全力を出す。

 出す……



「ゴォーール!!」

「二位ノア、三位アレン!!」


 昨日、俺が設営したテントの下で実況をしている人の声が聞こえる。




 痛いのはもういやだからな……


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