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第三章「レゼンタック」
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第六十一話「Amelia's Background」

「いや誰って……、ノアとかですかね?」


「ふーん、他には?」


 あ、この人、全員を聞き出すつもりだ。


「いや、ノアしか僕は分からないです」


「そっか、覚えとくね」


 アメリアさんはそう言ってニカっと笑うと、大剣の傍を離れて短剣が置いてある棚に近づいた。


 俺はその後を静かに追いかける。



「アレンくんって私の本名、知ってたっけ?」


 ……そういえば知らないな。

 面と向かって自己紹介した訳でもないし。


「知らないです」


「やっぱりね」

「アレンくん、もうちょっと人に興味持ったほうが良いよ」


「人並みには興味ありますよ」

「それで、本名なんていうんですか?」


「アメリア・レゼンタック」


「社長の娘かなにかですか?」


「そう、レゼンタック創業者の孫」

「今はおじいちゃんは名誉会長やってるけど」


 だからお嬢様なのか……

 まぁ、なんとなく予想ついてたけど。


「へー、すごいですね」


「……それだけ?」


「もっと驚いたほうがいいですか?」


「……アレンくん、やっぱり人に興味ないでしょ?」


「いや、ちゃんとありますよ」


 本物のお姫様に会った後だと、あまりにもインパクトが弱いなんて言えない。



「アレンくん、私ね、本当はもっと広い世界を見たいの……」


 アメリアさんはガラス棚に映る自分の姿を見ながら話し始めた。



 アメリアさんは現レゼンタック社長の一人娘として産まれ、それなりの期待感を持たれて教育を施されてきた。

 そして、そのままエスカレーター方式でレゼンタックの未来の社長として働いている。


 どこか途中で躓けばそのレールから外れる事も出来たのだが、優秀な遺伝子と教育、そして一人娘というプレッシャーのせいで優等生としてここまできてしまった。


 そんなアメリアさんの夢は旅に出る事。

 きっかけは研修先だったヒナコの宿にいたヒナコのおばあちゃんが、アメリアさんを可愛がって色々な体験をさせてくれた事だ。

 ヒナコとはその時に仲良くなったらしい。


 結婚して後継ぎを産むことができればその夢を叶える事が出来るかもしれない。

 だが、アメリアさんの容姿とスペックが異常に高くモテすぎるのと仕事が忙しいので真剣な恋愛をするのが難しいらしい。


 まぁ、あのお姫様と似たようなもんだ。



「私ね、本当は受付なんてやりたくないからアレン君みたいにシュパシュパ戦いたいの」


 アメリアさんはそう言いながら手刀で身振り手振りをする。


 なんだこの人。

 メチャクチャ可愛いな。


「それじゃあ、王子様が現れて駆け落ちしてもらえるのを待つしかないですね」


「それじゃあアレンくんが私の王子様になってよ」


 アメリアさんはそう言うと、俺の手をグッと強く握る。


「……いや、どこの世界に貧乏な王子様がいるんですか」

「もうちょっと僕の貯金が増えてからまた誘ってください」


 危ない。

 あやうく本気になりかけた。


「そっか、ざんねーん」


 アメリアさんはそう言って俺の手を離すと、再びあの大剣に近づく。



 あ、リベンジするのね……


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