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第三章「レゼンタック」
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第六十話「倒産危機?」

「おいアレン、ちょっとこい」


 俺がアメリアさんの話に付き合っていると、タイミングを計ってユバルさんが小声で俺を呼んだ。


「ちょっと席、外しますね」


 俺はアメリアさんに丁寧に断ってから席を立つと、ユバルさんの手招きに釣られるように店の奥に入る。



 おぉ……

 このお店の奥を見るのは初めてだ。


 店の奥は小さな作業場になっていて、大きな机の上以外は意外と整理されている。

 端にまとめて置いてあるのは、おそらく修理中の武器や道具だ。


 意外と繁盛してるのかな?



「おい、アレン」

「俺の店、潰れちまうのか?」


 ユバルさんは左手の薬指に手を当てながら、少し悲しげな眼でこちらを見つめる。


「いや、そんなことないよ」


 突然なにかと思ったが、そう勘違いしてもおかしくない。


「じゃあ、なんであのお嬢様が俺なんかの店にくるんだよ!」


「……デート?」


「誰とだ?」


「俺と?」


「本気か?」


「わからないよ……」


 ユバルさんは俺の事情をなんとなく察してくれたのか、安心した笑顔を見せながら俺の肩を強く叩いた。


 イタイ。

 この人、俺が怪我してたの知らないのかな?


「それなら良い」

「お前の武器の事だが、本当ならさっさと修理した物を渡して帰ってもらいたいんだが、お前が取りに来るのが遅いから奥にしまっちまって探すのにちと時間がかかる」

「俺の店が潰れないようにお嬢様の話し相手は任せたぞ」


 ユバルさんはそう言うと、コーヒーが入ったポットを俺に持たせてアメリアさんがいる場所に帰した。


 二人で探した方が早いけど、アメリアさんを放っておくわけにはいかなしな……



 あれ?

 アメリアさんがいない。


 背伸びをしながら店の中を見渡すと、店の入り口近くにある、あの大剣のまえでアメリアさんが首を傾げてた。


 俺はポットを机に置いてアメリアさんの元へ近づく。



「アレンくん、これ出来る?」


「できないですね」


「ちょっとやってみてよ」


 アメリアさんはそう言うと大剣の柄から手を離し、俺の手を掴んで大剣に寄せる。


「ふんッ」


 俺は身体を斜に構えてちょっとカッコつけながら、片手に全身全霊の力を込めて上に引き抜こうとする。


「ッ……はぁ……」


 ビクとも動かない。


 これやると萎えるから嫌なんだよな……


「アレンくん、もっとちゃんとやってよ」


「え……、はい」


 俺は改めて大剣の柄を両手で握り直すと、膝に体重を乗せて力を込める。


「ッ……ィイ……」


 やはり、ビクとも動かない。



「アレンくん、ちょっとどいて」


 アメリアさんは俺を押しのけ、小さな手で大剣を握ると細い身体に力を込める。


 怪我しそうで心配だ。



「んっ……、もう!むかつく!」


 アメリアさんはそう言いながらも、大剣の前から動こうとしない。


「はは……」


 ユバルさん、お嬢様がムカついてらっしゃいますよ……


 アメリアさんはしっかりした大人だと思っていたが、意外と子供っぽいところもあるみたいだ。


「……あ」

「そういえば、なんでアメリアさんってお嬢様って呼ばれてるんですか?」


 俺は間を埋めるために適当に話を振ると、アメリアさんがピタリと動きを止める。


「誰がそう呼んでいるの?」


 アメリアさんは満面の笑みでこちらに振り返ると、2歩こちらに近づく。


「あ……、いや……」


 ユバルさん、ちょっと不味いかもしれないよ……

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