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第三章「レゼンタック」
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第五十三話「恋文」

「どうして駆け落ちなんてしたんですか?」

「相手がお姫様でも、ウィリアムさんなら正攻法でなんとかなると思うのに……」


「それはな……」「それは私が話してあげる」


 黙って話を聞いてるのが苦手なのか、またしてもお姫様が割って入ってくる。


 黒騎士も諦めて両手を上げた。


「私とウィルとの出会いはね10年前ぐらい……」


 このお姫様、出会いから話すつもりか……



 お姫様と黒騎士の出会いは10年前。

 大量の魔物が人間に襲ってきた時。

 首都であるセントエクリーガ城下町を守るために国中から人が集められ、セントエクリーガの北にあるスパーデという田舎町の貴族であるウィリアムさんもその一人だった。

 ウィリアムさんは腕が立つので騎士団の臨時編隊に配属され、その任務こそが城の警護だったらしい。



「それで!私が一目惚れして!隊長のヒジカタさんって女性にラブレターを渡すように頼んだの!」


「そうなんですかーーー、……え?」

「ヒジカタさん?」


「そう、ヒジカタさん」

「そういえばヒジカタさんも日本人だったけど、もしかして知り合い?」


「いや……s」


「そうよね……、いつかお礼を言いたいわ」


 ヒジカタさん……、土方さん……、ってことはケイの母親か……

 本当に騎士団にいたんだな……

 ちょっと疑ってた。



 お姫様は話を進めるほどに黒騎士に身体を預けていく。

 亀甲縛りされている男を目の前に、よくこんなにイチャイチャできるもんだ。



 お姫様の告白は上手くいき、ウィリアムさんがスパーデに帰ってからも恋文が続いた。

 そして数年が経ったとき、ウィリアムさんは城の門を叩き、お姫様のお父様に結婚の申し込んだ。


 しかし、それは失敗に終わった。


 理由はいくつかある。

 恋文が全て検閲されていてその内容が如何わしかったという事もあるが、大きな理由としては<職業>だ。

 <黒騎士>の子が<王>になる事はほとんどない。


 ウィリアムさんは諦めなかったがその努力が実ることはなかった。



「そしてね、本当は秘密なんだけど、先週、お父様が亡くなってしまったの」

「それで第一王女の私に<王>を産ませるための婚約者が決まったんだけど、ブサイクだったから逃げてきちゃった」

「それに、妹のお腹にはもう赤ちゃんがいるから」


 ……これがお姫様か。


「それにしてもウィリアムさん、よくあの城からお姫様を連れ出せましたね」


「あったりまえでしょ!」

「いくら<黒騎士>だからってウィルのレベルは1700もあるのよ!!」


「せ……、本当ですか?」


「あぁ、この十年でやれることはやったからな」

「だがレベルだけが全てではないと君から知ることができた」

「君もスピードに関しては私が出会った中で10本の指に入る」


「はッ……ははははは……はぁ……」


 驚きすぎて自然と笑みが零れる。


 よく俺、生きてたな……


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