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第三章「レゼンタック」
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第四十七話「コードブラック」

「……この通信が聞こえている者は与えられている任務の一切を破棄し、被害者及び容疑者の捜索にかかれ」

「只今より容疑者の容姿と詳細を伝える」


 重大な事件が起こっているのは頭では理解しているが、本能が混乱している。

 こんな通信の仕方は初めてだ。


「……容疑者はおそらく男性、全身に黒い鎧を着用し、黒馬に乗って南東方向に逃走、戦闘した者の証言から推測したレベルは70前後と予想される」

「発見した際は戦闘をせず報告し、その場で待機せよ」


「10-4」


 要するに、お姫様が黒い騎士に攫われたってことでいいんだよな……


 なんかのイベントか?

 4月1日はとっくに過ぎてるよな……


 話のネタにはなるか。



「あのー、すみません」


 俺は女性の後を追いかけ、少し離れた所から声をかける。


 女性は無言で振り返り、じっと俺の顔を見つめてきた。


「あ、その……、黒い騎士に攫われたお姫様なんて見てないですよねー」


 俺は必死で顔に笑みを浮かべる。


「あっち」


 女性は白い狼の頭を片手で撫でながら、もう一方の手で北を指差した。


 ……逃走したのは南東だよな。


「ありがとうございますー」

「ちなみにあなたのお名前は……」


「次があれば教えてあげてもいい」

「それと、この子は肉よりも魚が好き」


 そう言い残すと、女性は白い狼にまたがり、あっという間に遠くの方へ行ってしまった。



 ……大進歩。


 とりあえず北に行くか。




 トスンッ


 北に向かってスキップをしていると、背後で物音がしたので慌てて振り返りながら距離を取る。


「……なんだノアか」


 無駄に足を痛めた。


「おう、アレン!」

「こんな所で何してるんだ?」

「通信は聞こえなかったのか?」


「聞いたよ、お姫様でしょ」

「ちょっと情報が入ったから北に向かってる」

「ノアは何してるの?」


「俺はお前たちの代役だ!」

「サボるのは良いが、程々にしろよ!!」

「緊急事態中だからな!」


 ノアはそう言い残すと、次の瞬間には姿を消していた。


 俺は手で雨を避けながら空を見上げる。


 飛んだ?

 壁の上で監視してるのかな……


 怖そうだな。



 俺は右手を強く握り、グローブに染みた雨水を絞るとさらに北に向かった。




「うーん……」


 北に一時間ほど進んでみたが、お姫様どころか、なんの生き物にも出会っていない。

 そして俺の目の前には崖があり、もう真北には進めなくなってしまった。


 引き返すか少し東に逸れながらさらに北に進むかの二択。


 帰るのも面倒だが『次』のためにもう少し進んでみるか……




 さらに30分ほど崖沿いを進んでいると、足元に服の切れ端が落ちている事に気づく。

 おそらく女物。

 木に引っ掛かったのか?


 いや、まさかな。



 パチンッ……パチンッ……


 雨の音に紛れて、何かが弾ける音がする。


 いや、まさかな。



 俺は身体を低くし、低木に身を隠して音が聞こえる方向に進んでいくと、洞窟を見つけた。

 入り口には火の突いた焚火と黒い馬。


 そして黒い鎧を纏った騎士。



 見つけちゃった……


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