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第三章「レゼンタック」
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第四十三話「6月の朝」

「ねぇ、アレン!」

「起きなくていいの?」


 雨音と混じってケイの声が聞こえる……


「……何時?」


「6時20分」

「さっきヒナコちゃんが朝ごはんもう出来てるって呼びに来たよ?」


 俺はぼやけた目を擦りながら寝返りをうつと、枕の位置を調整する。


 6時30分か……

 遅刻確定ならもう少し寝てもいいかな……




 ボスンッ


 段々と大きくなっていく雨音に耳を傾けていると、頭に柔らかい感触が重くのしかかる。



「ケイ……、その起こし方やめて……」

「起きるから」


 俺は頭の上に乗っかっているケイを払いのけると、のっそりと身体を起こした。


 最近はいつもこうだ。

 そもそもなんで6時にケイが起きてるんだ。



 俺は台所で軽く顔を洗い、あくびをしながら部屋を出て階段を降りる。


「おはよー!」

「アレンが早く起きないから雨、降ってきちゃったよ?」


 ダイニングのドアを開けると、ヒナコが大声を出しながらキッチンから出てきた。


「おはよう」


 俺は既に用意されていた食事の前に腰を下ろすと朝食を食べ始める。



「今日、昼ご飯はどうするの?」


「ケイの所で食べてくるよ」


「じゃあ帰ってくるのは1時ごろ?」


「うん」


「そしたらさ、帰りに夕飯の食材買ってきてよ!」

「あとでメモ渡すね!」


「……うん」



 俺は朝食を食べ終えると、ダイニングを後にして自分の部屋に戻る。

 ケイは新品の化粧台の脇に並んである人形に溜まった埃を掃除しているようだ。


 二度目の給料日を終え、部屋はケイが買ってきた服や得体のしれない何かで溢れている。


 オシャレをするのは良いが、ケイにはもっと落ち着いた服が似合うと思う……

 髪もけっこう伸びてきたな……

 あのオーバーオールを着ていた頃が懐かしい。



 俺は歯磨きを済ませると、窓際に干してあったスーツにサッと着替え、部屋の端に置いてある武器ケースを持ち、冷蔵庫から水を一本取り出して部屋を後にした。


 階段を降りると玄関で靴を履き、いつもの場所に置いてある買い物リストをポケットの中に入れ、時計を確認する。


「6時55分か……」


 こんな雨の日の早朝に外に出ている人は少ない。

 レゼンタックまでなら走って5分以内で着く。


 また怒られるのは嫌だしな……

 どうせ雨で濡れるし……


 眠気覚ましにもなる。



「よし!」


 俺は気合を入れてから玄関の引き戸を開け、傘を持たずにレゼンタックの方に走った。

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