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第三章「レゼンタック」
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第四十二話「可動式ホルスター」

 カランカランッ


 俺はユバルさんの店に戻ると、辺りを少し見渡す。



「お、アレン!」

「ちょうど終わったぞ!」


 ドアベルの音に気付いたのか、ユバルさんは黒い箱を持って店の奥から出てきた。


「問題ないですか?」


「あぁ、問題なかったぞ」

「錆もなければ刃こぼれも無い」

「ただ、鞘の中に汚れがすこし貯まってた」

「これからはたまにひっくり返してケツを叩いてやれ!!」


 おぉ、よかった。

 買い替えする余裕も直す余裕もないからな……


「ちなみにこの鞘は自分でいじったのか?」


「いや、ノアにやってもらいました」


「ほぅ……、そうか」

「なにか使ってて不都合はあったか?」


「あ、一つだけ」

「刀身を抜くときに鞘を後ろに下げたいんですけど、位置がガッチリ固定され過ぎてて動かないんですよ」

「これって改善できたりしますか?」


 俺から見ればこの武器やユバルさんお手製のホルスターの性能はほぼ100点に近い。

 ただ一つだけ使いにくい箇所がある。



 俺は腰の鞘から刀身を抜くときに、右手で短剣を抜くと同時に左手で鞘を引く癖がある。

 使っている武器が短剣だということもあり、気を付けていれば基本的に問題は無いのだが、居合をするときに少し不都合が発生する。


 居合はどれだけ早く鞘から刀身を抜くかが肝心だ。

 なので、俺は鞘を後ろに引けない代わりに左腰を後ろに切って補っていた。

 しかし慣れていない動きということもあり、目に見えてスピードが遅くなる事に加えてどうしても重心がブレてしまう。

 今後もそのように居合をする癖をつければそのうち慣れるかもしれないが、直せるなら直したい。



「そうだな……」

「今日はまだ時間あるか?」


「夕飯までに帰れれば大丈夫ですよ」


「そうか!」

「そしたら……まず1時間くれ!」

「待ってる間は散歩でもして暇をつぶしてこい!」


 俺は腰からホルスターを外してユバルさんに預けると、再び店の外に出る。


 一時間か……

 図書館は遠いしな……


 目的なしに歩き回るか……

 もしかしたら、あの白い髪の女の人も見つかるかもしれないしな……




 カランカランッ


 俺はちょうど一時間で店に戻ってきた。


 目的もなしにブラブラするのは苦手だ。

 背筋がソワソワしてしまう。


 結局あの白い髪の女の人もいなかったしな……



「アレンか!」

「さっそくだが、着けてみてくれ!」


 ユバルさんは店の奥から出て来るや否や、ホルスターと短剣を俺に渡した。


 俺は言われた通りホルスターを腰に装着し、短剣を鞘に納める。


「持ってるものでなんとか前後に動くようにしたが、もっと動かしたいなら専用の器具を作らなきゃいけない」

「こんなもんで大丈夫か?」


 俺は鞘から刀身が出ないように気を付けながら、短剣を前後に動かしてみる。


 うん、いい感じだ。

 けっしてお世辞ではない。


 前は独立した二点で固定していたのだが新しいものは三点で固定されており、その内の二点の間にレールが渡っていて、その上をホルスターが動くようだ。


 ユバルさんは天才発明家かもしれない。


「めっちゃ、いい感じです」


「それはよかった!」

「また何かあったら遠慮なく言えよ!」

「次の点検は半年後ぐらいにくれば大丈夫だ!」

「他になにか買いたいものはあるか?」


「えーっと……、そこにあるゴムの靴下ください」



 俺はセール中の安いゴム靴下3足セットを買って店を後にすると、ヒナコに宿の方向に足を進める。


 オレンジジュースでも買って、帰ったら部屋にこもって図書館で借りた本の続きを読もう。

 たまたま手にした『世界のお酒の作り方』という子供向けの本が意外に面白い。




 来週から雨季か……

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