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第三章「レゼンタック」
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第三十七話「罪悪感」

「ケイ、片づけしてくるからちょっと待ってて」


「わかった!」


 俺はそうケイに言い残すと、階段を上って4階に行く。


 いちいちレゼンタックに戻ってきて認識票を片づけるのは面倒くさい。

 この階段も何回も上っていれば慣れると思ったのだが、疲れるものは疲れるのだ。



 俺は受付の裏に回ると認識票をフックにかけると、デスクが並んでいる場所に向かう。


「ヅーリンさーん」

「トレバーさんから銀行のカード預かってますか?」


 この女の人は4階グループで俺を除いた唯一のアジア人で、歳は離れているが少しだけ仲良くなった。

 トレバーさんも暇じゃないので、作った銀行のカードを預かって貰うことになっている。


「はい、預かってますよ」

「帰り道で落とさないようにね」


 ヅーリンさんはそう言うと、デスクの中に閉まってあった横長の封筒を二枚、渡してくれた。


「僕ってそんな子供に見えますか?」


「ハリソンがよく落とし物するからねー」

「それじゃ、お疲れさま」


 俺は苦笑いを浮かべながらその場を去ろうとしたが、少し考えてから立ち止まる。

 今日、感じた違和感は早めに解消しておきたい。


「一つ質問があるんですけど」

「ヅーリンさんってモンスター嫌いですか?」


「うーん……、どうだろう……」

「どっちかというと嫌いかなー」

「怖いしねー」


「それじゃあ、モンスターを殺して可哀そうだと思いますか?」


「そんなのするわけないでしょ」

「そんな冗談ばっか言ってないで早く帰る!」


「……お疲れさまでーす」



 やっぱりどうも違和感があるんだよな……


 俺はモンスターは好きでも嫌いでもないが、お金を稼ぐ事とSPを溜める目的があるので殺している。

 それは家畜を屠殺したり害獣を駆除したりするのときっと同じ感覚で、罪悪感に似たモヤモヤが胸の中にほんの少し生まれる。

 だが今日のノアの戦い方は少し怖かった。

 嫌いや憎しみといった感情とは違う気がするが、モンスターを一つの生命として見ていない感じだ。


 なんだか気持ち悪い……

 それがスライムならまだ分かるが、人型のモンスターでも同じなのはな……


 ノアは長く仕事をしているので慣れているだけだと思っていたが、ヅーリンさんもそう言うのなら、それがこの世界の普通なのだろうか……



「アレン!」

「なんで置いてっちゃうの!」


 俺がふと目線を降ろすとケイが怒った顔で立ちふさがっている。


 考え事をしていたらいつもの癖で一人で帰ろうとしてしまった。


「ごめん」


「はやく買い物いこ!」


 ケイはそう言うと俺の手を引っ張ってレゼンタックの外に勢いよく連れ出す。


 今日は給料日なのでケイと仕事終わりに買い物に行く約束をしていた。

 ヒナコからは計画性、計画性、計画性と耳が痛くなるほど言われている。


 ……大丈夫かな。


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