表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベルってなんですか?  作者: Nombre
第三章「レゼンタック」
154/244

第十七話「風邪」

「ただいまー」


 宿の玄関を開けると、ケイの小さな靴が綺麗に並んでいた。


「……」


 誰の返事も返ってこないので、階段を上って自分の部屋に戻る。



「さてと……」


 とりあえず、この武器をケイの手に届かない場所に保管しなければならない。

 <貧者の袋>に入れようと思ったのだが、長さが足りなかった。


 とりあえず……部屋の端っこに目立たないように置いとくか。

 ロックもかかっているし、下手に開けようとはしないだろう。



「……おかえり」


 声が聞こえたので振り返ると、うなだれたケイがトボトボと部屋の中に入ってきた。

 そしてそのまま寝室に入っていく。


「布団やろうか?」


「自分でデキル……」


 ケイはそう言うと自分で布団を敷き始める。


 俺はそれをただ眺めていると、ケイは布団に潜って仰向けで眠り始めた。



 ケイが眠る枕の横には、昨日、俺が渡したペンダントの写真が置いてある。


 ケイはあのペンダントを俺が渡してから一回もつけることなく、あそこに置きっぱなしだ。

 デザインが気に入らなかったのか、そもそもペンダントがダメだったのか……

 どっちみち、もう少しお金を出すべきだったかもしれない。


 こうして写真の横で静かに眠っていると、まるでお葬式みたいだな。

 なんてね……



「ケイちゃん戻ってきた?」


「びっくりした……」


 しばらくケイを眺めていると、ヒナコがノックもせずに部屋に入ってきた。


 ヒナコは寝室に入ってケイのおでこに手の甲を当てると、俺の目の前に戻ってきて腰を下ろす。


 ……え?

 てっきり部屋を出ていくのかと思ったのだが、なぜ足を止めた?



「えーっと、ケイ大丈夫なの?」


「うーん、熱もないし食欲もあるんだけど頭が痛いんだって」


「そっか、なら大丈夫そうだね」


 俺は袋の中からスーツハンガーを取り出すと、着たままだったスーツを脱ぎ始める。


 この部屋もあっという間に物だらけになってきたな。

 後でまとめて押し入れの中に入れとくか……


「……あのさ!」


「ん?」


 なぜかヒナコは部屋にまだ居座っている。


「……その服かっこいいね!」

「じゃあ、夜ご飯はいつもの時間だから!」


 ヒナコはそう言い残して、慌ただしく部屋から出て行った。



 ……ん?


 え、なんだ?



 とりあえず部屋着に着替えて片付けして夜ご飯を待つか。




「……ケイ、夜ご飯の時間だけど、どうする?」


 俺はケイの肩を軽くゆすりながら話しかける。


「タベル」


 ケイはそう答えると、もぞもぞと身体を起こした。


 かなり身体がだるそうだ。



 俺は一応ケイに目を配らせながら階段を降りてダイニングに向かった。



 テーブルの上には夕飯が既に準備されている。



 俺とケイは椅子に座ってヒナコを待ち、三人で『いただきます』をすると食事を口に運び始めた。


 ケイはゆっくりだが、一定のリズムで箸を動かしている。

 ヒナコが言った通り食欲はありそうだ。




 食事を終えるとケイは早々にお風呂を済ませ、二階に戻る。



 俺はケイに続いてお風呂を済ませると、ダイニングの椅子に腰を下ろした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ