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第三章「レゼンタック」
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第十三話「見込み違い」

「さてと……」


 ユバルさんに短剣をカスタマイズしてもらったのは良いが、まだ戦い方がイメージしきれていない。

 カスタマイズした鞘の役割は、攻撃を受けて鍔で弾く、もしくは鍔で押さえる事だ。


 とりあえずは素直に鞘を持っている左手を前に、短剣を持っている右手を後ろにして構えるか……



 ビュンッ


 ノアは俺が構えたのを確認すると、いつも通り大きく前に踏み込み、右手を目一杯、伸ばして真っすぐに突いてきた。


 ガチンッ


 俺は重心を低くして、身体を左に捌きながら槍を上から鞘で抑え、前に大きく踏み込み、右肩に槍をかすめながらノアの横を通り過ぎる。



「……やるな」


 ノアは右肘の内側から流れる出血をシャツの上から左手で抑えながら呟いた。


「まぁね」


 俺はノアに向かって再び構える。


 ノアのワイシャツを汚してしまったのは申し訳ないな。



 ノアは先程と同じように前に踏み込みながら槍の先端を上げると、槍を真っすぐ振り下ろしてきた。


 ガチンッ


 攻撃を受けようとする鞘と、攻撃を仕掛けようとする短剣が、身体の正面でぶつかる。


「うっ」


 俺は絡まる鞘と短剣を振りほどき、先程と同じように鞘で槍を押さえようとする。



 バチンッ


「いってぇー!」


 ノアの槍はもろに俺の鎖骨に命中した。



「……おい、大丈夫か?」


「うん、大丈夫」


 ノアはその場でうずくまる俺に手を指し伸ばす。


 俺はノアの手をとって立ち上がると、鎖骨を指先でなぞった。


 当たった瞬間は完全に折れたと思ったが、どうやら無事のようだ。

 痛みもすぐに引いていく。


 これでユバルさんから貰ったスーツの性能確認はできた。



 俺は短剣と鞘の構え方を少しだけ変えると、自分からノアに仕掛けていった。




「……休憩だ!」


 ノアはそう言うと構えていた槍を降ろす。


 悔しい……

 理想と現実とはこんなにも違うのか。


 剣と鞘を上手く扱うことが出来ず、結局あの後もボロボロだった。


 慣れないことはするもんじゃない。

 鞘を使わないという手もあるが、せっかくユバルさんが作ってくれたのだから、それはしたくない。


 とにかく早急に改善しよう。



 まず構え方がダメだ。


 せっかく鞘を持っている左手を前に構えているのに、身体から近い所で攻撃を受けている。

 ならば鞘は身体から近い位置でも良いだろう。


 いっそのこと鞘の持ち手を左手ではなく、反応が良くて力も入る右手に持ち替えるか……



「おい、アレン」

「俺に相談してもいいんだぞ」


 運動場の端で壁に向かって、いろいろ試していたら、いつの間にかノアが俺の背後に迫ってきていた。


「……これ、どこを直した方がいいと思う?」


 俺は右手で鞘を持ち、左手で短剣を持ってノアに向かって構えてみる。


「そうだな……その鞘で攻撃することはあるのか?」


 ノアは鞘を振り下ろすようなジェスチャーをする。


「いや、そんな感じでは使わないかな……」


 ノアは空を見て考えている。



「……だったら逆手で持ってみたらどうだ?」

「トンファーの持ち手なんか付けてみるのも面白いかもしれないぞ?」


 この兄弟トンファー好きだな……


「逆手で持つのは良いけど、トンファーはね……」

「使ったことないし、ホルスターに入るか分からない」


 それに、トンファーみたいに使うにはもう少し長さが欲しい。


「そうか……」

「だが、そのまま使っていると拳を怪我するから、どっちみち持ち手は新しく付けた方がいいな」


 ノアは俺の腰についているホルスターをチラッと確認する。


「……ちょっと待ってろ!」


 ノアはそう言い残し、建物の中に姿を消した。


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