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第三章「レゼンタック」
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第九話「戦闘服」

「……待たせたな!」

「これが今日からアレンの戦闘服だ!!」


 そう言いながらユバルさんは黒い袋に覆われたハンガーを片手に店の奥から出てきた。


 ここでもユバルさんは焦らすのかよ。


 ……ん?

 今、ユバルさん『戦闘服』って言ったか?


 確かにスーツを仕事着にしようかな、とは思っていたが、ユバルさんにはスーツの手直ししか頼んでいない。

 『戦闘服』にしてくれとは絶対に言っていない。



「ほら、開けてみろよ」


 ユバルさんは黒い袋に覆われたハンガーを受付の上に置き、自信満々の笑顔をして腕を組んだ。


 てっきり『根を詰めた』というのは武器の方かと思っていたが、本命はこの袋の中身のようだ。



「ふぅ……、じゃあ開けるよ?」


「かしこまらずに、ささっと開けろ!」


 俺は袋についているジッパーをゆっくりと下ろす。



 まず、明らかに生地が変わっている。

 パサパサだった生地には艶が出ていて、ワイン色?のストライプ柄が薄く入っている。

 そしてボタンの数が3つから2つになっている。


 素人目にはこのくらいしか分からないが、元のスーツからほとんど原型を留めていない。



「着てみろよ!」


 ユバルさんはそう言うと、ハンガーからスーツを取り外して俺の前に置いた。


「どこで着替えればいい?」


「誰もこないからそこで平気だ」


「……わかったよ」



 俺は受付の前でズボンを脱ぎ、下からスーツを着替え始める。

 上はパーカーの上から羽織ることにした。


 スーツは軽くて着心地は思った通り最高だが、身体に纏わりついてくるような感覚がある。



「ほら、着たんだったら鏡の前に立ってみろ!」


「……うん」


 俺は言われた通り、鏡の前に立つ。


「それで……どこをどうしたんだ?」


「よくぞ聞いてくれた!」

「表地はブラック、裏地はグレー、どちらも実家から特急便で取り寄せた一級品だ!」

「耐刃防水素材で表地のベースの色はその武器に合わせてある!」

「表地にはボルドー、裏地にはホワイトのストライプを入れた!」

「そして、表地と裏地の間の中地には伸縮性素材を入れてある!」

「ちなみに中地は耐衝撃、耐熱素材にしておいた!」

「耐熱は理論上5000Kまで耐えられるようになってるぞ!」


「……裾とかが緑色に少し光ってるのは?」


「あぁ、それは重りに石を入れてある」

「身体に密着させるのと裾を払いやすいようにだ」


「……えーっと、じゃあつまりこれって新品ってこと?」


「ボタンは変わってないぞ?」


「ふぅ……、そうか」


 俺は鏡の前で一回転する。


 確かに、これは良いスーツだ。

 ユバルさんが『戦闘服』と言っただけあり、スペックも高い。


 だがしかし……



 俺は今日で破産したかもしれない……

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