第四話「山」
時間はまだ一時間もあるので丁寧にやろう。
三択問題を終え、チラッと脇に目を向けるとハリソン君が凄く頭を悩ませていた。
もう記述問題に入ったのだろうか……
Q101 モンスターを絶命させる方法を2通り述べたのち、モンスターが絶命した際にどのような現象が起こるか述べよ。
モンスターを殺すには頭部にあるPCCが破壊されるか、HPをにする方法がある。
また、モンスターが死ぬとその時点でPCCに繋がっている部位は溶けてしまうが、繋がっていない部分は物体として残り続ける。
……こんなもんかな。
ちなみにモンスターの死骸が残っていると、その死骸にモンスターが寄ってくるので初撃で核を壊すのが良いと、本に書いてあった。
Q102 ウオヴォシミアが残したとされるモンスターの死骸の特徴と、それを見つけた際の適切な対応をQ101の回答を踏まえて述べよ。
ウオヴォシミアが残したモンスターの死骸は、関節の位置で解体されていることが多い。
また切断面は捩じり切られたような跡がある。
モンスターはHPが0になると核に繋がっている部分は溶けてしまうため、残骸が多ければ多いほど解体が上手い。
また、ウオヴォシミアは満腹になる前に他のモンスターの気配を察すると、解体した物を巣に持ち替える習性がある。
つまり残骸が残っているということは、短時間で解体を済ませて食事を終えた、強い個体だと言える。
ウオヴォシミアはEランクモンスターとされているが、このような残骸を見つけた周囲の個体はD~Cランクとして対応するべきである。
……山が当たってよかった。
こんなのばっかりだから完璧に覚えているのは3種類ぐらいだ。
Q103 「ソフトシェル」とは何かを述べ、ソフトシェル化したモンスターの対応を述べよ。
一部のモンスターは外核と呼ばれる防御機能を持つ。
外核は空気に触れると劣化していくため、脱皮することで交換する。
その過程で、モンスターは脱皮前に外核にある硬化物質をPCCに集め、脱皮後に外核に戻していく。
その時に一時的に外核が柔らかくなる事をソフトシェルと言う。
ソフトシェル化したモンスターは表面の柔らかさの代わりにPCCの強度が数段と上がるので、PCCを破壊することは難しい。
対応としては、ソフトシェルは2~3時間ほどでなくなるので、しばらく様子を見てソフトシェル化が解けるのを待つか、HPを減らす方法を取る。
……よし、これは余裕だ。
海老とか蟹と同じだからな。
よし、次いこう。