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第三章「レゼンタック」
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第一話「しゃらくさい」

「ふわぁ~ぁ」

「ケイ、準備まだ?」


 俺は部屋のドアの前であくびをしながら、部屋の中であたふたしているケイを呼んだ。


 特に寝坊をしたわけではないのだが、家を出る時間はもう過ぎている。


「アレン!髪むすんで!」


 ケイは鼻声でそう言うと、俺の前にヒナコから貰ったゴムを差し出した。


 昨日の『子供やめる』という発言から、ケイはいっそうと子供っぽくなった気がする。

 というのも結び方もしらないのに髪を結ぼうとしたり、おこずかいをねだり、飲み物やお菓子を買ってきたと思えば、俺の前で自慢げな顔をする。


「えー、ヒナコにやってもらいなよ」


 俺はケイに向かってわざとらしく面倒くさそうな顔をした。


「やだよ、恥ずかしいもん」


 ケイは俺に背を向け、少し背伸びをしながらピンッと立つ。

 仕方が無いので、俺はケイの短い髪をかき集め、それっぽくなるように結ぶ。



 ケイは昨日の夜、髪を結ぶゴムをヒナコから貰った時に結び方も教えてもらっていたのだが、朝起きたら忘れてしまったらしい。

 そして、忘れてしまったのを隠したいので、もう一度ヒナコに教えてもらうのはもちろん、結んでもらうのも恥ずかしいらしい。

 なので、その指導を脇から見ていた俺がもう一度ケイに教えたのだが、もう出発の時間になってしまった。



 ケイの髪は短いので結びずらいが、俺の手は自然と動いたので、センスがいいのかもしれない。


「ほら、終わったよ」


 俺は結んだケイの髪を軽く引っ張り、部屋を出ようとする。


「変じゃない?」


 ケイはそう言うと、頭を横に何回か振った。


「変じゃないから早く行こ」


「……」

「ちょっと待って!」


 ケイは自分の頭を優しい手つきで何回か触ると寝室の窓の方に走っていき、窓に反射する自分の姿を確認してから部屋を飛び出した。


 どうやら適当に返事をしたのがバレたらしい。


「はぁ……」


 俺はケイがいなくなった静かな部屋を少し眺めてから扉を閉め、鍵を閉める。



 階段を降りると既に靴に履き終えたケイがヒナコの前でくるくるしていた。



「いってきまーす」「いってきまぁーす!!」


 俺とケイはヒナコに見送られながら宿を後にして、レゼンタックに向かう。


 ケイは俺の周りをウロチョロしているが、俺の手を握ることはなかった。



 たしかにケイは昨日から変わった。

 だが、俺から見れば子供のままであることは変わらない。


 しかし12歳という年齢を考えれば今までが幼すぎたのかもしれない。

 これがたぶん思春期ってやつだ


 給料が入ったら鏡でも買ってあげよう。




 少し早歩きでレゼンタックに向かうと、8時半には到着することができた。



 よし!テスト頑張るか!


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