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第二章「セントエクリーガ城下町」
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第八十八話「勝機」

 訓練を始めてからだいたい1時間ほど経っただろうか。


 3セットの攻防を繰り返したが、未だ反撃の糸口は掴めない。

 というのも、ノアが徹底的に頭部を狙ってくるため近間に踏み込むのが怖すぎるからだ。


 そのおかげで攻撃を避けるのは昨日より楽なので、記憶はまだ残っている。



 しかし、段々とノアの頭部への攻撃のパターンも読めてきたので、次はいけそうだ。



「よし!やるか!!」


 ノアはそう言うとベンチから立ち上がる。

 俺はそれに答えるようにノアに向かって短剣を構えた。


 ノアは左手を前に構えて俺に槍の切っ先を向けると、呼吸を読むように間合いを測り始める。



 ビュンッ


 俺はノアが遠間から目一杯、右腕を伸ばして槍を突いてくるのを短剣で軌道を逸らしながら悠々と避ける。


 ノアの一手目は大体の確率で、これをしてくるか、大きく踏み込んで小さく突いてくるかのどっちかだ。

 どこを突いてくるかまでは分からないが、小さく踏み込み、なるべくノアの手元に近いところに短剣を当てて逸らせば避けることが出来ることに気づいた。


 だが、ノアが槍を手元に戻す速度も恐ろしく早いので、ここからもう一歩踏み込むのでは遅い。


 なので、ここは踏み込むフェイントをして停滞するのが吉だ。



 ノアは間合いを詰めながら半身を返し、右手を前にした状態で槍を手元に戻す。


 その場で半身を戻さずに槍を戻したのなら次も突いてくる可能性が高いのだが、間合いを詰められ半身を返されると、小さく突かれたり、払われたり、槍以外の攻撃など、一気に選択肢が増える。


 なのでここは、<遁走>を発動させ、バックステップをするのが良い。

 そうなると槍以外の攻撃の選択肢が消え、少し楽になる。


 一番ダメなのは首根っこを掴まれることだ。



 ノアは俺が後ろに下がったのを追いかけるように前に踏み込んで薙ぎ払う体勢を取る。


 間合いを開けたときにノアの左手が前の状態だと踏み込みながら小さく突いたり、その場で足を止めたまま腕を伸ばして槍で追いかけてくるため、槍の挙動がほとんど同じで読みにくいが、右手が前の状態だと大体の場合踏み込んで小さく突くか、薙ぎ払うかの二択でなので、右手の挙動に集中すればまだ見分けやすい。



 そして俺はこの状態になるのを待っていた。


 後半戦で集中力が切れてからではなく、組み合ってすぐにここまで持ち込めたのはラッキーだ。



 俺はステップの着地地点で、前のめりで左手を前方の地面につきながら無理やり止まり、<遁走>を消す。


 胴体を薙ぎ払われる軌道であれば、しゃがんでも避けられないが、今ノアが狙っているのは俺の頭だ。



 俺はノアの薙ぎ払いを避け、急接近してくるノアの下顎に向かって短剣を突き刺した。

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