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第二章「セントエクリーガ城下町」
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第八十三話「彼女?」

 この訓練だが、一応10分ほど組み合った後、長い休憩を入れてくれるようだ。

 さっきは呼吸のタイミングがつかめず、窒息するかと思った。



 ノアがベンチで休んでいる間に、持っている短剣を色々と構えてみる。

 なにせ使ったことがないから、何が正しいのか分からない。


 とりあえず通り魔のように正面に切っ先を向けるのはあまり良くなさそうだ。



 ……昨日の傷がかなり痛む。

 先程から冷汗が止まらない。


 ふと顔を上げると、一昨日割った三階の窓ガラスがガムテープで補強されているのに気付く。



「よし、再開するか!」

「おい、アレン!」

「このままだと彼女に酷い面を晒すことになるぞ!!」


 ノアはそう言いながら立ち上がると、地面に横になっている槍を拾い上げた。


「……彼女って?」


 俺はノアに向かって首を傾げる。


 ケイの事ではなさそうだし心当たりがない。


「一昨日、レストランで一緒にいたのは彼女だろ?」


 ノアはそう言うと、俺と同じ方向に首を傾げた。


 ……そういえば一昨日レストランでノアと目が合ったな。


「違うよ、あの人は……友達?」


 俺とヒナコの関係ってなんだ?

 友達ではない気がするが、それに近い何かだ。


 ……ケイの保護者仲間とか?


「おうおうおう、言い訳しなくてもいいぞ!」

「どうせ惚の字なんだろ?」


 ノアは槍を俺に向かって構える。


「はぁ……」

「もうそれでいいよ」


 俺はため息をつくと、先程とは違い、切っ先が左上になるように構え、相手に刃を向け、背を左手で支える。

 今回はあえて少し高めに構えることで顔への攻撃をふせぎながら胴体に攻撃を誘う作戦だ。



 ノアは俺が構えたのを確認すると右手を一杯に伸ばして真正面からみぞおちを突いてきた。


 俺はノアの槍を左手でいなして軌道を変え、槍を右肩にかすめながらもなんとか懐に飛び込み、左上から右下にかけて首と鎖骨を狙う。



 ノアに一泡吹かせるには、集中力が下がっていない序盤での短期決戦しかない。



 しかし槍を捌いたことで右側が窮屈になったことにより右腕を伸ばす動作が遅れ、ノアの左手が短剣を握り取る。


 そしてノアはその流れで伸びきった右手から槍を離し、肩と肘と手首を返して俺の後ろ襟を掴んだ。



 俺は左手で捌いた槍が地面に落ちた時点で危機感を感じ、右手から短剣を離してフリーになった両手でノアにしがみつこうとする。


 しかし必死の抵抗も虚しく、ノアの剛腕で振り回されたことによる遠心力には勝てずに、ノアの周りを2~3周した後、俺の身体は空中に浮かび上がった。



 今日も天気が良い。

 絶好の空中散歩日和だ。




「おはよう!!」


 俺が目を開けた瞬間、目の前からノアの大声が聞こえてきた。


 この目線は経験がある。


「……降ろしてください」


 俺がそう言うと、ニタニタと笑っているノアが腕の中から俺を地面に降ろしてくれる。



 あぁ、怖かった。

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