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天下布武少女

「天下を取りなさい! 真理亜!」

 ある日お笑いの神、アハ神様が私に言いました。

「天下? ラーメン屋を買収しろというのですか!?」

「その通りで・・・・・・違うわい!? おまえ、そこまでアホなのか!?」

「だってアハ教徒ですから。アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「いいですか! 私利私欲、既得権益で私腹を肥やす悪い物を倒し、弱くて困っている人が安心して暮らせる世の中を、あなたが作るのです!」

「でも、私なんかがどうやって!?」

「お友達を作りなさい。」

「お友達!?」

「あなた一人では何もできません。」

「ガーン! どうせ私はおバカですよ! トホホ・・・・・・。」

 ダメと言われて落ち込む真理亜。

「お友達をたくさん作って、助け合って世界を正しく導くのです!」

「分かりました! お友達をたくさん作って、天下を取ります!」

 こうして真理亜、お友達70億人キャンペーン実施中になる。

「頼みましたよ。あなたのご先祖様の御加護がありますよに。」

「アハッ!」

 こうして真理亜は夢の中で崇拝するアハ神様から天下取りの使命を受けるのであった。


「天下布武じゃ!」

 目が覚めた真理亜は布団から飛び起き第一声を高々に発する。

「その前に高校一年生にもなって、お漏らしするをやめてもらえる。お姉ちゃん。」

 冷ややかな妹の楓。

「なんですと!? 正にアハ神様に出会ったのは正夢だったんだ!?」

 お漏らしよりアハ神様を優先して現実逃避する真理亜。

「何を巫女みたいなことを言っているのよ? 我が一族は超能力者の一族で、シャーマンじゃないんだからね。」

「アハッ!」 

 楓は小学一年生だが難しい言葉を知っている良く出来た妹である。

「早く着替えないとお母さんに朝食抜きにされるわよ。」

「なんですと!? それは困る!? 一大事でござる!?」

 そしてアハ神様より大切な朝食。

「布団もベランダに干しておいてよ。」

 冷たい言葉を残して楓は去って行く。

「・・・・・・恥ずかしいから、水洗いしたことにしよう! アハッ!」

 前向きな真理亜であった。


「ねえねえ、お母さん。」

「なに? 真理亜。」

 なんとか朝食の時間に間に合った真理亜は母親に尋ねてみることにした。食卓には母のひばり、父の慎太郎、真理亜と楓がご飯を食べている。

「天下布武って、なに?」

「天下布武!?」

 真理亜の発言に朝食を食べる大神家に衝撃が走る。

「お姉ちゃん!? 意味も知らないで天下布武を言ってたの!?」

「うん。」

「真理亜から天下布武だなんて言葉が出るなんて!? 明日は雪ね。」

「わ~い! 雪だるま作るんだ!」

「真理亜は本当に素直で良い子だな。」

「だって、お父さんの子供だもん。アハッ!」

 おバカキャラは大概のことは気にしない。

「相変わらず真理亜は無敵ね。」

「いや~、それほどでも。」

「褒めてない!」

「アハッ!」

 笑って誤魔化す真理亜。

「天下布武とは天下を統一するということよ。日本の支配者になるということね。」

「おお! 支配者!」

 以上に反応する真理亜。

「私が日本の支配者になれば、お漏らししたことも怒られない! それどころか、「お漏らし!」だの「高校一年生にもなって」だの、私を辱めようとする者を針付け獄門の刑にすることもできる! なんて夢があるんだ! 天下布武!」

 自己保身に走る真理亜。

「やってやろうじゃないか! 天下布武!」

 真理亜の夢は天下布武に決まった。夢が決まったら後は実行するだけである。

「ギャアアアアアアー!? 真理亜!? お漏らししたのね!?」

 母のひばりが真理亜のお漏らしに気づいてしまった。

「ヒョエエエエエエー!? 許してください!? 私が悪うございました!?」

「許せるか! 高校一年生にもなって、お漏らしするとは何事だ!? ガオー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「アハッ!」

 吠える母のひばりに命乞いは通用しなかった。

「夢を叶える前にお姉ちゃんが市中引き回しの刑にならなきゃいいけどね。」

 姉の成仏を祈る妹であった。

「ゆ・・・・・・ゆ・・・・・・夢を叶えるのは難しいんだな。」

 夢の実現が簡単ではないことを実感する真理亜。

「お姉ちゃんがお漏らしするから悪いんでしょ。」

「アハッ!」

 災難は夢とは無関係であった。

 つづく。

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