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サマンサ、頭とれる

 サマンサは飛び始めてすぐ、日本海の上空辺りで首に痛みを感じたが、たいしたことはないと飛行を続けていた。

 シベリアの空は思ったより明るかった。しかしやはり言い知れぬ違和感を感じていた。

「首と頭が変だな」

 カスピ海上空にさしかかった辺りでサマンサは自分の頭がなくなっていることに気づいた。

「あっ頭がどっか行っちゃった!」

 気分よく大空を飛んでいるときにはまったく気づかなかったが、しっかりと目を開けてみると、自分が何処かの水面に浮いていることが確認できた。それでいて体は空を羽ばたいている。

「頭と体が別々だ!」とサマンサは飛びながら、かつ浮かびながら呟いた。

「まあいいか」

 致し方無い。頭と体はいつかまた一つになるだろう。そんなことより急がなければならない。ユーラシア大陸の果てまで行かなければならないのだ。サマンサは羽ばたきとまばたきにいっそう力を込めた。


『カスピ海上空、頭のないドバトが飛行!目撃情報相次ぐ』

 翌日の地元紙の見出しである。

 一方、頭部の方は湖でも池でもないドブにはまり、淀みでクルクル回っていた。村の兄弟が枝切れでつつきながら、地元の言葉であろうか「シオモッコ、ドバト、シオモッコ」と繰り返していた。



(続く)


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