四月馬鹿
「エイプリルフールって直訳すると、四月馬鹿って笑えますよね」
新しい月に入って、いきなりの行事ですね。私自身世界各地のあらゆる行事を取り入れる「お祭り」気質な日本文化は好きではあり嫌いなのですが、その中でも特にあまり興味がなかった「エイプリルフール」についてちょっと書いていこうと思います。
「エイプリルフール」とは1日だけ「嘘」をついてもよいとされている日のことですね。午前の時間までしか嘘をつくことができないとされていますが、具体的にはイギリス圏のみの決まりなのでそれ以外の地域では自由です。まあ他国からの記念日なのでその習わし通りに事を進めるという意味では「午前まで」という決まりをそのまま踏襲した、という形になるのでしょうか。日本では様々な方が嘘を“ジョーク”としてとらえることでどこかクスッとなるような嘘をついてくれます。原則として、日本の「エイプリルフール」は他者が不幸になる、不快になるような嘘以外ならば良いのでしょう。むしろ笑わせてくれるような内容なら大歓迎という感じでしょうか。
ところでエイプリルフールを直訳してみますと「四月馬鹿」となります。なんだか日本語では「嘘」をつく人が「馬鹿」なのではないかと捉えてしまうと思うので別の意味から観てみましょう。
エイプリルはそのまま「四月」という意味を持ちます。フールという意味は基本的に日本語だと「馬鹿」とされることが多いのですが、「愚かな」や「愚者」という意味もあります。実際にタロットカードには「愚者」(フール)というタロットが存在しています。さらに言えば愚者という言葉は解釈によって様々な意味に変化する言葉でもあります。タロットカードにおける愚者というものが指すものは「ジョーカー」や「道化師」などの人たちです。この人たちは自分自身が「道化」となって「愚か者」を演じることで他者を笑わせるという行為をします。自分がたとえどんな人であろうとも愚か者、つまりは「愚者」を演じることが何よりも大切なのです。「愚者」というものは時に他者をからかい、時に笑わせます。そのことがエイプリルフールのフールという言葉の真の意味なのではないのでしょうか。
嘘をつくこと、つまりは嘘をつく人間は自分が「愚者」になることで、その嘘をついた人間をからかったり、楽しませたり、幸せにしたりします。しかし「愚者」という者はたとえ少しの悪意があろうともそれが他者の不幸につながることはしません。あくまで「自分の愚かな行為を他人に楽しんでもらう。」そのために動かなければいけません。それだからこそエイプリルフールに他人が不幸になる「嘘」をついてはいけないのです。
「嘘をつくこと」それが嘘をついた人にとって「からかわれたけどエイプリルフールだしいいか」と楽しめるコンテンツとして居続けるならばこの日は幸せな日でしょう。