その5 焦りは禁物
まだ1月第一週ですよね?
「うっうひぃぃぃぃ!」
とっさの事で私は、半狂乱になってその場にうずくまった。
「落ち着け、別に危害は加えないから」
後ろの彼だか彼女だかは子供に言い聞かせるように優しくそう言った。そして、丸めた私の背中に触れた。
「待ってっ!やめてっ!殺さないでっ!許してっ!」
今度はひっくり返ってダンゴムシのように暴れる私。手足をばたつかせ、半泣きになりながら転げ回る。
「落ち着けってば!」
だだっ子よりもひどい私に対し、屈みこんで脇腹をさする彼女。彼女だった。少なくとも、見た目は。同い年から2歳前後するくらいの年齢だと思われる。この、少しばかり鈍い彼女は。
「とても落ち着いてますよ······?」
彼女の首にひんやりと冷たいものをあてがう。今拳銃から抜き取った弾薬だけど、死角になっててわからないだろう。触れてる面も僅かだし。
「うぐ······しまった······」
からんと斧を落として、手を上げる彼女。やや黄色の混ざった黒い綺麗な目が、混乱と少しばかりの恐怖に染まっている。
私は、心のなかで大きくため息をついた。うずくまるまでは完全にパニックだった。助かった。
ちなみに弾薬なのはうっかり撃たないようにです。
ここにかいたのはもしかしたら忘れるかもしれないからです。