その15 オンファイア
お待たせ
おおざっぱにそこら辺の瓦礫で丸くかまどを組み、焦らないようにしつつも急いで火をつける。火種はコンロに段ボール突っ込んで打ち金を使ったんだけど、その時築山は目を丸くして応用力を誉めてくれた。履き物組める方がよっぽどすごいと思うけどね。
座り込んで足をそわそわしてる築山を横目に、水を並々汲んだ錆びかけの鍋を火にかける。小分けになっている即席麺のプラスチック包装を開き、どさどさの鍋に突っ込む。燃料はたくさん出してくれてあるから、火にも気を使いつつ後は待つだけだ。
「······しかし、どうにも目の前に食べ物があると気が抜けるな」
独り言のように呟くと、築山は笑って同意してくれるのだった。
「くっそ······暇だ」
一定のパターンが続く商店街の地面を、一定のパターンでうろうろ歩き回っている鳴島。裏道に探検にも出れないし、動くものは何もないし、飯は築山優先だからまだだし、こうも暇だと無駄なことも悶々考えてしまうもの。前の時もこうやって見張りだったな。暁のやつは私に見張り役という印象でも持ってるのか?もしかして。次も見張りなら文句言ってやる。なんてぐるぐる回ってぐるぐる考えていた。
「ぁん?」
野うさぎのように頭を立て、耳に集中する。はっきり聞こえるぞ。唸るような低い振動音。これはバイクだ。エンジンでかめでゴツいやつ。昔はよく乗った記憶がある。何て名前だっけな
「暁!暁!バイクが来る!」
······返事がない。なんのために私に見張らせてるんだ?あんにゃろうめ
視界の端に黒いものが写る。商店街の入り口からもうもうと土煙を巻き上げて入って来る。もしかすると巡回してる助けかも知れないし、どっちにしろ報せるべきだ。
「うっ······」
そう思って振り向いたその時、何かと目が合った。どこだかわからないけど、確実にあった。そこにいる。首筋がぞわぞわする感覚に襲われ、その場に縛り付けられる。ヤバい。こいつはなんかヤバい!
しかし困ったな。振り向いて目線を感じたからにはそこら辺に隠れているんだろうから、中に向かおうものなら攻撃される。ゴキブリみたいにそっと通れば飛ばない何てことは無いだろうしね。
あ、でもそうだな。瓦礫ならいくらでもあるし人の潜めそうなところ全部攻撃すれば良いんじゃね?
息を整える。脇腹が揺らめいて私のものより大分がっしりした人の腕が現れる。
「あれっ。あ、掴めないのか」
腕は瓦礫をすり抜けて地面に埋もれてしまう。そういえば、考えてみると服貫通してるもんな······
いやでも段ボールは掴めるよな?段ボールは私の手でも持てるし火も触れるしな······
ということは────段ボールを挟めば、あ、持てたぞ。
なんだかめんどくさいなこれ
「さて。あんまり奥にやっちまうと誤射になりそうだから注意して、だがぶん投げさせてもらうぞ!良いか?」
あつい