その14 カツカツ
私達は数分間歩いた。しかし、細かく砕けたコンクリート片とかガラス片とかが道に散乱していて、裸足じゃまともに進めなかった。でも築山がダンボールで靴を作ってくれた。靴というよりも立体の芸術作品みたいなものだけど、にしてもなんで作れるんだ······?助かったのは事実だけど、不思議だ。何も資機材のない素手だぞ?
さらに進むと、地下鉄の出口だったものと案内板が見つかった。なんでこっちのが早く見つかるんだ?
「へー、ここって牧場あんだな」
「牧場がどうしたよ鳴島」
「いやさ、町外れに牧場があるって書いてあるのよ。厩舎はともかく運動場とかなら壊れてないだろうからまだ牛とかいるかも」
「ほう」
そこで鳴島の腹が鳴った。本人は笑って誤魔化しているが、これはまずい。私も足の力が抜けてきた。急ぐ必要がある。幸い地図は見れたから、飲食店の位置はわかった。道が通りづらいかもだけどたどり着けるだろう。
そこから15分。商店街らしい所についた。今までの壊滅の様と比べるとずいぶんときれいに残っている。天井もあり、散らばってる瓦礫も少なくて比較的歩きやすい。ありがたい。私達は鳴島を見張りにして手近の店に入った。
「暁、なんか爆発音聞こえねぇか?聞き覚えのある······」
店の外から大声が投げ掛けられる。小さくため息が出た。うるさいな、私にゃ聞こえないよ。
すると、店の奥からなにかを一抱え持ち出して嬉しそうに築山が出てきた。即席ラーメンだ。これで食事ができる。カビてなければだけど。
「鳴島!あったぞあったぞ!コンロ組めコンロ!」
「マジか!店の奥にないか?コンロ」
「あー見てみるわ!念のためダンボール丸めといて!」
「オッケー!」
とたんにやる気が出てくる。相変わらず単純なやつだ。私は。バタバタと店の奥に入る。鍋、水道、コンロもある。でも火はつかない。ガス菅が切れてるのか?水は出る。でも念のため煮沸しようか。と考えて鍋に水を汲んだ。
カツカツなのは私だよ