騒動の中で 2
「なんじゃこりゃ?ふろおけか?へーでかい箱やね」
サウォークが双子に連れられて来たのはあの文箱が置かれた街はずれの倉庫だった。
彼は一度も騒動になっているトゥアナの文箱を見たことはないので、どことなくぴんと来る所はあったが、双子の手前そ知らぬ顔で箱を蹴ったり叩いたりしてみていた。
「あのさー、おっちゃん、これ、ちょっと動かせる?」
「んーまあ出来なくはないかな」
「おらっ!」
巨体で肩に軽々と持ち上げる。
「すげ」
「やば」
二人はぱちぱちと拍手した。
サウォークは調子に乗って片手でムン!と力瘤を作って見せたが脚がもつれて文箱は地響きと共に床に落ちた。
「ちゅうかへんな作りだねこれ。内蓋があるな。ほら」
「は?」
「うちぶたってなに?」
「だってさ、こことここのさ高さが違うでしょ?見ておじょうちゃんたち、見てる?多分ここにな内蓋があると思う」
双子は顔を見合わせた。
オノエが思い切ったように口を開く。
「仲良しがいるの。鉄工所の子なんだけど」
「ちょっと」
ニマウがオノエの肘を引っ張った。
「そこまで信用していいの」
「連れて来ちゃったんだからもうしょうがないよ。ねえおっちゃん、あたしたちすごくいい子知ってんの。これ持って来て?女だけど鍛冶やってんのよ」
「こいつを開けてくれんのか?」
「いつもならいいんだけどさ、今はたくさん兵が出てんのよ。自由に動けないの。あんたがいてくれた方がはやいから!」
「おーしかたねえな~」
鼻の下を伸ばしながらサウォークは今度はしっかりと両手で抱え上げた。
「ちょっと待って」
ニマウが止めた。
「荷車じゃなくて持って行くなら、何かに包まなきゃいけないわ」
三人でそこらの藁ぶとんやら紐やらで大騒ぎしながらくるみこんで包んだ。
外に出ると空にはうっすらと雲がかかっていて月の光もおぼろだった。
「来て!」
青い方が矢のように走り出した。
「まってニマウ。おっさん早く!」
少し行った所で用心深く気配を伺い、また夜に動き出す小さな獣のように走り出す。
ふうふう言いながら走るサウォークにオノエは言った。
「あの子めっちゃ足速いんだ。剣の腕ならぼく誰にも負けないけど、足だけはニマウにはかなわない」




