宴会 3
ヘッドロックをかまされた。何気にすごい力が入っている。
(まじで痛い)
「このこの!てい!ぜったいお似合いだったのにも~!ばか!カペル!」
(あーこれはながされるやつだ。てきとーにながすやつ)
「ここの連中みんなもそうだよね。エグルを殺っちゃったのに、ベルガまで仲良しにしちゃってさ!」
笑顔で周囲に話しかけているから周囲も笑っているが、カペルは皆の目が笑っていないし、太子の腕にこめる力が本気なのを感じた。
こわっ。首やばい、首。
この人のこのテンションやばい。
太子はやっとカペルを離した。
(おれ首まだついてっかなー)
頭をまわしてチェックしているカペルをよそに、太子はベルガに向かって言い放つ。
「ベルガ、やってみればいいよ。攻め込まれてるんでしょ、モントルーを守りながら~、ラベル地区での弾圧とか~争いとか~?(目の前で指をあわせつまむしぐさをする)ほんのちょっとでも聞こえたら…(首を切る仕草をした)ちょん!」
一同シーンとしている。
「妹ちゃんは都に連れて来なさい。トゥアナ、きみが自分で母上にお出しして。心配しないで。ぼくがついててあげるから、大丈夫!」
トゥアナは苦しげな顔をしていた。
もう一度向き直って言おうとする。
「でもアウナはここにいませんし…」
「アウナはここにいます、おねえさま」
ベルガの後ろにいる兵士が一人、前に進み出て頭巾を取った。
中から大きな目のきらきら光る少女の顔が現れた。
髪を短く切りそろえ、すっかり男の格好をしている。
「アウナ!?」
トゥアナは飛び立つように席を立ったので、椅子を後ろに倒してしまった。
「だってあなた、残ったんじゃなかったの!?その格好は!?」
椅子から転がり落ちかねないほど驚いたトゥアナの姿は到底嘘とは思われない。知らなかったようだった。
思わぬことに今一つ理解できず、若干引いている太子を指差してアウナは言った。
「おねえさま、この人ベルガを殺そうとしてるの?だったらわたし、戦うわ」
ベルガは無言でいる。カペルも無言でいた。
トゥアナは二人の顔を交互に見て、何となく察したようだった。
アウナはかぶとを小脇に抱えたまま、きっぱり宣言する。
「いいわよ。わたし宮廷に行きます。でもそれは人質になるからじゃない。いつでもそのおじいちゃんを背中から刺してあげるためよ。王様だって怖くないわ!ベルガのためになら」
胸を押さえて座り込んだトゥアナ、背後の入り口に影が現れた。




