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ラベル・エラベット  作者: 天海 悠
回廊にて
37/162

押し問答 1

 





 ベルガは吸い付けられたようにカペルから目を離さない。


「わたしを若い若いと言うが、君もずいぶん若い。将軍」


 後ろに向かって紹介するかのように手を振った。


「見ての通り、ここの民は皆率直で粗野だ。礼儀など知らない。お前たちがソミュールのような慇懃無礼な男でなくて、あれでも皆ほっとしている」

「そりゃどうも…」

「わたしは腹を割って語り合えるような相手が欲しかった」

「おれ平民だよ」

「それは関係ない。トゥアナもそう言うだろう」

「友達か?」

「そうだ。友だ」


 カペルは唇をぐっと引き結んだ。

 それから、言い放った。


「おれあんたと友達になる気なんてこれっぽっちもねぇ~から!」


 サウォークがまた大きくため息をつくのを感じた。

 小声で後ろから言う。


「またお前は~~~~!支離滅裂なんだよ。何がしたいんだ!」


 カペルも前を向いたままささやき返した。


「うるさい!仲良しこよしで来たんじゃないんだよ!」


 押し負けてたまるか。

 ベルガは顔色を変えない。


「トゥアナか?」


 じわじわと首をしめるように美青年の視線が迫ってくる。雰囲気はトゥアナにそっくりだ。

 すごいイケメンにじっと見つめられると、非常に居心地が悪い。

 立ち上がってもいないのに体が大きくなったように感じる。まるでこちらに迫ってくるようだ。


「トゥアナがいいのか?」


 いやいやいや。

 やばいやばい。

 攻めてくる。攻められてる。

 守りに入ったら負けだ。押し返さないと。


 今はベルガは本当に立ち上がっていた。カペルは見上げるしかない。


「これだけは言っておく。あの子はこの土地の魂だ」


 周囲はシンと静まり返って、ベルガの声一つ一つを聞いていた。

 こぶし一つ、カペルの前に手を付いた。


「ここの領民はみな、あの子を指示する、しないのどんな誰も限らず、そのことだけは全員が知っている。司令官、あなたがあの子をどう扱うか、みなが見ているぞ」






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