表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

仮面

作者:

久しぶりの投稿です。

 いつからだろう。

 辛いことがあっても、それを仮面で隠すようになったのは。


「好きな人が出来たんだ!」


 俺の好きな人の口から出たそんな言葉。

 色々言いたい気持ちを抑えて、仮面を作る。


"応援するよ"


 心にもない言葉。

 心が悲鳴をあげる。我慢をするのは限界だ。自分の気持ちを大声で叫びたい。そんな内側の自分を仮面で覆い隠す。


「付き合える事になったの!」


 笑顔で報告してきた、俺の好きな人。

 その一言がどれだけ相手を傷付けてるかも知らないで。


"おめでとう。頑張ってたもんな"


 俺だって頑張ってた。

 必死に……必死に頑張ってた。それでも届かなかった。


「ありがとう!やっぱり、君は良い人だね!」


 きっと、ある種の褒め言葉なのだろう。それは分かる。

 俺の存在を肯定してくれる言葉。でも、それですら俺を傷付ける。心が限界を伝える。大きな声で、周りの目など気にせず泣きたい、と。


「ずっと友達でいようね!」


 無邪気な君。そんな君が好き。でも、その無邪気な一言一言が俺を傷付ける。


"あぁ……ずっと友達だ"


 もう自分の言葉ですら、心を傷付ける言葉になる。

 何度も考える。出会わなければ、こんな苦しいことにならなかったのか。出会わなければ……そんな考えは、結局なんの意味もない。

 そもそも、今こうやって話してるだけでも嬉しいと感じてしまうのに、出会わない可能性を考えるのはアホらしい。


「君と話してると、時間が過ぎるの本当に早く感じるね!」


 それは頑張ってるから。元々、そんなに口が上手い方じゃない。でも、君を振り向かせたかったから。

 でも……今は、彼氏が出来た君を繋ぎ止めたいから。この頑張りを手放すと……君が俺から離れて行く気がするから。


"俺も楽しいよ"


 心が痛い。存在しない部位のはずなのに、痛いと分かる。


「ほんとっ!君と出会えてよかった!」


 やめてくれ……。


「彼氏がね──」


 俺はもう……とっくに限界なんだ。


「また明日ね!」


 君と話せると日を待ちわびる一方、傷付く未来を想像して怖くなる。

 俺の仮面がいつまで耐えられるのか。出来ることなら、君には知られたくないこの醜い感情。隠せるなら永遠に隠し続けたい。


「どうしたの?悩み事?私でよかったら聞くよ?」


 心配してくれる君。でも……それですら心が悲鳴をあげるのは何故だろう。

 仮面を剥ぎ取って、自分の気持ちを君にぶちまけたら……そんな考えが頭をよぎる。


"えっと……"


 この気持ちを伝えたら……友達には戻れないだろう。それはつまり、君が俺から離れていく可能性が高くなるということ。それが分かってるのに、仮面を取る事なんて俺には出来ない。

 心配そうに俺をみる君。今この瞬間だけは、君は俺を見てくれる。その一瞬の喜びを噛みしめる。


"何でもないよ。俺は大丈夫だから"


 いつも通り、仮面をかぶる。俺はこれ以上、前へ進む勇気はないから。

 だから……今日も俺は限界を、悲鳴を、傷口を仮面で覆い隠す──


何作目になるのかなぁ……(笑)


感想・ご意見、お待ちしてます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 遅くなりましたが読ませていただきました。 あー、彼の気持ちが辛い…! 無自覚で傷付けるとはこういうことをいうんですね…。彼は大丈夫でしょうか、仮面が壊れた後がちょっと気になりますね!(笑)
[気になる点] 報われない恋物語がお好きなのですか? [一言] テッ○マンブ○ードの予告の締めの言葉がぴったり。 『仮面の下の涙を拭え』
[一言]  長くは続かないと思います。
2017/04/29 05:51 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ