仮面
久しぶりの投稿です。
いつからだろう。
辛いことがあっても、それを仮面で隠すようになったのは。
「好きな人が出来たんだ!」
俺の好きな人の口から出たそんな言葉。
色々言いたい気持ちを抑えて、仮面を作る。
"応援するよ"
心にもない言葉。
心が悲鳴をあげる。我慢をするのは限界だ。自分の気持ちを大声で叫びたい。そんな内側の自分を仮面で覆い隠す。
「付き合える事になったの!」
笑顔で報告してきた、俺の好きな人。
その一言がどれだけ相手を傷付けてるかも知らないで。
"おめでとう。頑張ってたもんな"
俺だって頑張ってた。
必死に……必死に頑張ってた。それでも届かなかった。
「ありがとう!やっぱり、君は良い人だね!」
きっと、ある種の褒め言葉なのだろう。それは分かる。
俺の存在を肯定してくれる言葉。でも、それですら俺を傷付ける。心が限界を伝える。大きな声で、周りの目など気にせず泣きたい、と。
「ずっと友達でいようね!」
無邪気な君。そんな君が好き。でも、その無邪気な一言一言が俺を傷付ける。
"あぁ……ずっと友達だ"
もう自分の言葉ですら、心を傷付ける言葉になる。
何度も考える。出会わなければ、こんな苦しいことにならなかったのか。出会わなければ……そんな考えは、結局なんの意味もない。
そもそも、今こうやって話してるだけでも嬉しいと感じてしまうのに、出会わない可能性を考えるのはアホらしい。
「君と話してると、時間が過ぎるの本当に早く感じるね!」
それは頑張ってるから。元々、そんなに口が上手い方じゃない。でも、君を振り向かせたかったから。
でも……今は、彼氏が出来た君を繋ぎ止めたいから。この頑張りを手放すと……君が俺から離れて行く気がするから。
"俺も楽しいよ"
心が痛い。存在しない部位のはずなのに、痛いと分かる。
「ほんとっ!君と出会えてよかった!」
やめてくれ……。
「彼氏がね──」
俺はもう……とっくに限界なんだ。
「また明日ね!」
君と話せると日を待ちわびる一方、傷付く未来を想像して怖くなる。
俺の仮面がいつまで耐えられるのか。出来ることなら、君には知られたくないこの醜い感情。隠せるなら永遠に隠し続けたい。
「どうしたの?悩み事?私でよかったら聞くよ?」
心配してくれる君。でも……それですら心が悲鳴をあげるのは何故だろう。
仮面を剥ぎ取って、自分の気持ちを君にぶちまけたら……そんな考えが頭をよぎる。
"えっと……"
この気持ちを伝えたら……友達には戻れないだろう。それはつまり、君が俺から離れていく可能性が高くなるということ。それが分かってるのに、仮面を取る事なんて俺には出来ない。
心配そうに俺をみる君。今この瞬間だけは、君は俺を見てくれる。その一瞬の喜びを噛みしめる。
"何でもないよ。俺は大丈夫だから"
いつも通り、仮面をかぶる。俺はこれ以上、前へ進む勇気はないから。
だから……今日も俺は限界を、悲鳴を、傷口を仮面で覆い隠す──
何作目になるのかなぁ……(笑)
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