序章
初めての投稿です。のんびりやっていきます。
何処かで水の滴る音が聞こえる。遠くで何かが鉄にぶつかる鈍い音が聞こえる。
だがそれもとうに聞き飽きたものだ。
いつからここに居るのだろう。いつからか月日を数えることをやめた。
名前も思い出せないし、何者だったのかもわからない。
気がついた時、俺は牢屋の中にいた。部屋の中には簡易なベッドがあるだけのじめじめとした石造りの部屋だ。ここでは腹が減ることもないし、排泄の必要もなかった。
牢屋の中からは通路が見えるのみで周りに人がいる気配もない。
この場所はただひたすらに退屈で気が狂いそうだった。やることと言えば睡眠と少しというには多すぎる運動だけだった。
だけどいつだって外の世界には夢を見ていた。眩しい太陽に光り輝く星々、どこまでも深い緑に吸い込まれそうな青い海。いつもそんなことを妄想しながら床につく。
その日もいつもの様に目を覚ます。また今日も代わり映えのしない虚無の日々が始まるのかと憂鬱な目覚めだった。
起きたらまず通路にかかる光加減で大体の時間を把握することが日課だったからいつもの様に牢屋の中から通路を見た。
「??」
何か違和感があった。もう一度見てみるとすぐに違和感の招待に気付いた。
「!!!???」
鉄柵の一部が扉に変わっている。少し力を入れると扉はすこし軋みながら開いた。
どうして急に扉が現れたのかとか、そんなことは頭になかった。
外の世界に無限の可能性を抱いて俺は迷わずに駆け出した―。
読んでくれた皆様ありがとうございます。