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鈴木さんと佐藤くん  作者: 鈴城楓@通行人A
1/3

1. 4という数字

 高校3年の春。


 桜の花びらがひらひらと舞い、登校してくる私達を歓迎しているかのように綺麗なこの光景は、日本好きの外国人が見れば写真を撮らずにはいられないだろう。

 いや、外国人でなくてもこの光景には魅了される。


 だが私こと鈴木瑞季(すずきみずき)は、桜なんてものは全く目に入らず、ただ一点のみを見ていた。


 食い入るように見る先には今年度になって新しくなったクラスを発表する紙。

 私の名前は4組の真ん中辺りにあった。それは別に良い。4という数字は縁起が悪いとされている所もあるそうだが、幸せの4とも解釈できる。ポジティブシンキングだ。


 けれど、【この問題】ばかりはポジティブに考えられそうにない。


「うげっ!嘘、だろ…?」


 そんなこの世の終わりみたいな声が隣から聞こえ、視線をクラス表からそちらに移す。

 するとそこには見慣れた(見飽きたともいう)顔が超近距離にあった。


 何処かの乙女ゲームに登場しそうな端正な顔立ちをしているソイツの名前は佐藤青透(さとうあおと)

 ちなみに先程まで凝視していたクラス表にて私の名前の上、つまり私の一つ前の出席番号の相手も「佐藤青透」だ。

 

「ね、ねぇ佐藤。私4組だったんだけど、佐藤は何組だった?」

「はっはは、奇遇だな鈴木。俺も4組だったよ。可笑しいなぁ、一体いつから4組は2つになったんだ?」


 と乾いた声で笑い、現実逃避をするかのような佐藤の発言は逆に、私達が同じクラスという現実を受け止めざるを得なくさせた。













 その後、先生に促されるまま新しく自分のクラスとなった教室に入り、前の黒板に張り出された紙を見て大人しく指定された席に着く。


 左隣を見れば私と同じく席に着き、哀愁漂う表情で窓の向こう側にある青空を見る佐藤の姿。

 彼は窓側の一番後ろという私にとっては最高の席に座っているというのに大きな溜め息を吐いている。


 出席番号順に決められたこの席に不満をもらしても仕方ないのは分かっているのだが、一言だけ言わせてほしい。


___佐藤、お前ばっかり不幸だと思うなよ!私だってお前と同じクラスになって泣きたい気分なんだよ!!



 そんな風に心の中で叫んでいると、まだ人の少ないこの教室の扉が開かれ、黒く綺麗な長髪を2つに分け耳下でくくった少女が入ってきた。


 その少女は荷物を置くこともせず、こちらに向かって来る。

 そして手にしていた学校指定の鞄をドサリとその場に落とすと、彼女は両手を広げ満面の笑みで私に抱き着いてきた。


 その勢いの良さに思わずグハッと、乙女としていかがなものかと思われる声が出たが、それは仕方ないと思う。そうだ、決して私に女子力がないという事ではない。断じて違う。

 佐藤が肩を震わせて笑いを堪えているが、きっとそれは気のせいだ。


「瑞季ちゃん!おっはよー!!」

「おはよう、陽菜。陽菜も4組?」


 と聞いてみれば、私の友人である東陽菜(あずまひな)はその通りだと言わんばかりに首を何度も縦に振った。



 私と陽菜は去年、同じクラスだった。

 …...ついでに言うと隣の佐藤もそうだった訳だが、その事を無しに考えれば本当に良いクラスだった。


 「いじめ」なんてものが一切なく、まさにみんな「仲良しこよし」状態であった。

 そんな風に仲の良いクラスメイトの中でも私は陽菜と特に仲が良く、いつも一緒にいた。


 彼女は天然だ。社会科のテストで本来ならば「琉球王国」と答える問題に「おもちゃ王国」という回答をするほど天然だ。もう頭の中がお花畑になっている。

 だがそれぐらい天然(バカ)な方が私は好きだ。

 何だかこう守ってあげたくなるのだ。


 結論、陽菜は愛すべき天然(バカ)なのである。


今回が初投稿です。

誤字・脱字などがあれば、教えてくださると助かります。


ちなみに登場人物の名前は響きと季節(とくに夏)を連想させるものから選んでいます(*’▽’)

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