出会っちゃったかも
20XX 4月
私、山本 香奈子は大学に入学した。
一生懸命に勉強してなんとか合格を手に入れたのだ。
これはそれから1ヶ月後からの話である。
「ゴールデンウィークってどうする?」
入学式以来、仲良くなった宮田 葵と
大川 舞といつものように
学食にいりびたっていた。
「あたしは家でのんびりしてよっかな。」
「香奈子は実家から通ってるからのんびりできていいよね〜。
うちと舞は実家に帰るから慌ただしいんだよ。」
「気をつけて行ってきてね。
あ、そろそろ帰ろうか。」
学食を出て、葵と舞と別れ
駐輪場に向かっていると、
「香奈子ちゃんじゃん!久しぶり!」
そう声をかけてきたのは
高校から仲良くさせていただいている
1つ年上の小谷 信也だ。
「あ、信也さん、お久しぶりです。」
「香奈子ちゃんは変わんないな〜。
あ、そういえばゴールデンウイークって暇?」
「特に予定は入っていませんよ。」
「じゃあ、遊びにいかない?
俺の友達が香奈子ちゃんと遊びたいらしくて。」
「まあ、いいですよ。暇ですし。」
「おっけー。言っとく。じゃあな!」
「はい、さようなら。」
信也と別れたあと、自転車を漕ぎながら
(正直、めんどくさい)
そんなことばかり思っていた。
家に帰ると、信也から
こんなメールが届いていた。
日時:5月5日 13時
駅前集合でカラオケ行こう。
あと、一緒に行くやつのアドレスあげるから
連絡して仲良くなっといて。
そんな無責任な。
そう思いながらも信也に返信し、
この謎だらけの人にメールを作成する。
香奈子です、こんばんは。
カラオケ、楽しみですね。
(こんなんでいいか、送信。)
するとすぐに返信がきた。
こんばんは、川島 翔です。
おれも楽しみにしてる。
あ、おっけーしてくれてありがとう。
じゃあ、おやすみ。
意外とそっけないな。
そんな印象を持ちながらベッドに寝転んだ。
あと4日。
そう思いながら眠りについた。
5月5日
お気に入りのワンピースを着て
薄く化粧をして、
少し緊張しながら駅前で待っていた。
集合時間ぴったりに
信也と翔がきた。
「ごめん、待たせた。行こうか。」
わたしたち3人はカラオケ店に向かった。
じゃんけんをして、順番は
香奈子 信也 翔 となった。
少し緊張しながら
いつも歌っているガールズバンドを歌い終えると
「おれもこのバンド好き。
他はだれが好き?」
「あとはback numberとかですかね。」
「まじで!おれも大好き!」
驚くことに翔と好きなアーティストが
ほとんど一緒だったのだ。
(ここまで翔さんと気が合うなんて。)
そして、翔の歌を聴いたとき
自分の中でなにかが起こった。
(翔さん、うますぎ。信也さんもうまいけど、なにか違う。)
それからの2時間
香奈子の頭の中には、翔のことしかなかった。
歌っている翔の横顔がキラキラして
目が離せなかったのだ。
夢のような時間が過ぎ
帰る時間になってしまった。
「今日はほんとにありがとうございました。
また誘ってください。」
「おれらも楽しかったよ。また行こう。」
「はい、さようなら。」
帰りの電車の中でも
家に着いても
頭の中では翔の歌う姿が浮かんでいて
あれからずっとback numberを聴いている。
(楽しかったな、明日からまた学校だ、また会えるかな。)
そんなことを思いながら眠りについた。