悪魔と
結果がよければ、それまでのことはなんでもいい。
「本当にそうかしら?」
見慣れた顔の女が訪ねてきた。
「何が言いたいんだよ」
「過程はどうでもいい、結果だけが欲しい。本当にそれでいいの?」
悪魔はそんなことを言う。
「ああ、俺は妹を生き返らせたい。そのためならどうなってもいい」
俺が覚悟を込めて言うと、悪魔は馬鹿にしたように笑う。
「いいわよ。カイトがそう言うのなら叶えてあげる」
「嘘じゃないよな?」
「ここで嘘なんてつかないわよ。ほかならぬカイトの為だもの。どんな願いだって叶えるわよ」
悪魔は聖女のように微笑む。
だからこそ疑いが晴れないのだが。
「私は嘘はつかないわ。カイトの妹は生き返る。その代わりにカイトは苦しむかもしれないけど」
「そんなものどうだっていいと言っただろう? ミアが生き返るならなんだってする」
「分かったわ。じゃあ生き返らせましょう」
そして悪魔が目をつむり、呟く。
「さあ生き返りなさい」
ぼそりと、それだけだった。
本当にそれだけ。
「さあ、これで生き返ったわ。家に戻って棺桶を見なさい」
「おい、本当か? こんなのでミアが生き返るのか?」
「大丈夫よ。ほら、帰りなさい。私、カイトに嘘はつかないから」
悪魔がそういうので、俺は家に帰った。
***
家に帰ると、見知らぬ女がいた。
「え」
彼女は俺が帰ってくるとは思わなかったのか、ひどく驚いていた。
全く知らない女だ。記憶を必死に探るが、こんな女見たことがない。本当に、一度も見たことがなかった。
俺は反射的に叫ぶ。
「おい! なんで俺の家にいる! 出ていけ!」
「あ!」
俺は叫び、その女を追い出す。
「くそ、最近は物騒すぎるな」
俺は家の玄関のカギを閉め、念入りに確認する。
そしてそのまま、読みかけの本を読む。
外から玄関の扉を叩く音がした。何故か俺の名前も呼ばれている。
だが無視していたら、やがて聞こえなくなった。
何かを忘れている気がしたが、それは直ぐに意識の外に出て行ってしまった。
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