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悪魔と

作者: 綴 詠士
掲載日:2026/02/28

 結果がよければ、それまでのことはなんでもいい。

 

「本当にそうかしら?」

 

 見慣れた顔の女が訪ねてきた。

 

「何が言いたいんだよ」

 

「過程はどうでもいい、結果だけが欲しい。本当にそれでいいの?」

 

 悪魔はそんなことを言う。

 

「ああ、俺は妹を生き返らせたい。そのためならどうなってもいい」

 

 俺が覚悟を込めて言うと、悪魔は馬鹿にしたように笑う。

 

「いいわよ。カイトがそう言うのなら叶えてあげる」

 

「嘘じゃないよな?」

 

「ここで嘘なんてつかないわよ。ほかならぬカイトの為だもの。どんな願いだって叶えるわよ」

 

 悪魔は聖女のように微笑む。

 

 だからこそ疑いが晴れないのだが。

 

「私は嘘はつかないわ。カイトの妹は生き返る。その代わりにカイトは苦しむかもしれないけど」

 

「そんなものどうだっていいと言っただろう? ミアが生き返るならなんだってする」

 

「分かったわ。じゃあ生き返らせましょう」

 

 そして悪魔が目をつむり、呟く。

 

「さあ生き返りなさい」

 

 ぼそりと、それだけだった。

 

 本当にそれだけ。

 

「さあ、これで生き返ったわ。家に戻って棺桶を見なさい」

 

「おい、本当か? こんなのでミアが生き返るのか?」

 

「大丈夫よ。ほら、帰りなさい。私、カイトに嘘はつかないから」

 

 悪魔がそういうので、俺は家に帰った。


 ***


 家に帰ると、見知らぬ女がいた。

 

「え」

 

 彼女は俺が帰ってくるとは思わなかったのか、ひどく驚いていた。

 

 全く知らない女だ。記憶を必死に探るが、こんな女見たことがない。本当に、一度も見たことがなかった。

 

 俺は反射的に叫ぶ。

 

「おい! なんで俺の家にいる! 出ていけ!」

 

「あ!」

 

 俺は叫び、その女を追い出す。

 

「くそ、最近は物騒すぎるな」

 

 俺は家の玄関のカギを閉め、念入りに確認する。

 

 そしてそのまま、読みかけの本を読む。


 外から玄関の扉を叩く音がした。何故か俺の名前も呼ばれている。


 だが無視していたら、やがて聞こえなくなった。

 

 何かを忘れている気がしたが、それは直ぐに意識の外に出て行ってしまった。














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