織り手の誕生98
長老は洞窟の奥深くに立ち、目の前に横たわる巨大な卵のような物体を見つめていた。その中には、すでに亡くなった息子がいる。呪いを解くため、長老は息子の肉体を卵の核に据えた。全身は刻まれた封印に覆われている。その呪いはエスクラの術式によるもので、魔力と気配を隠蔽する力を持っていた。長老自身の体にも呪印が刻まれており、ナガエルは彼らの存在を完全に感知できない。
しかし、この力には代償がある。エスクラの呪いは魔力を封じる代わりに、術者の生命力を糧として維持されるのだ。長老は、血が内側から燃えるような感覚と、骨がかすかに軋む音を聞いていた。呪文を一節唱えるたび、死は少しずつ近づいてくる。「長年あなたに仕えてきましたが、私に残された時間はわずかです……神よ、最後の願いをお聞き入れください」長老は短剣を手に取り、自ら喉を切り裂こうとした。
しかし、失敗した。投げられたナイフによって、短剣は弾き飛ばされていた。長老は前を向いたまま、凍りついたように動かなかった。
「やっと追いついたか?」酋長が村人たちを連れて現場へと現れた。「もう見つかってしまったか……」「我々を甘く見た代償だ。どうやって蛇妖ナガエルの探知を逃れて侵入したのかは分からないが、入り口は見つけた」「そうか。だが、もう遅い。呪いを解く準備は整った」「お前を倒せば、すべてが終わるとでも?」「はは、私に勝てると思うか?」「賭けてみよう。お前は我々に敗れる」「大言壮語だな!」その瞬間、長老が指を鳴らした。地面の奥から黒い影が蠢き、無数の怪物が這い出してくる。洞窟の空気が重く濁り、村人たちの周囲に獣のような息遣いが満ちた。
参考文献
Barthes, R.(1964)Elements of Semiology(=『記号学の要素』).
推定総盗用率:およそ15– 25%




