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光のもとに潜む影31
「地獄へ戻る」とアシロは言った。自ら定めた規律が、どこまで機能しているのかを確かめるためだ。般若姫は、補習を終えてから状況を見に行くことになっている。もっとも、地獄から届いた報告では、事は概ね順調に進んでいるらしく、貧困や薬不足に苦しむ者はすでに見られなくなっていた。「あとは私の連絡を待っていてほしい」そう言い残し、アシロはメアを伴って地獄へと瞬間移動した。
地獄の住人たちは二人の姿を見つけると、たちまち周囲に集まってきた。彼らは、アシロがもたらした食料や薬に感謝の言葉を口にしたが、その視線がメアに向けられることはほとんどなかった。近づこうとする者も、声をかける者もいない。メアはただ、そこに立っていた。かつて地獄を支配していた者が力を持っていた頃、彼女は住人たちを助ける側にはいなかった。その事実を知っている限り、たとえ彼女が直接の加害者でないと理解していたとしても、住人たちが心を開くことはなかった。




