光のもとに潜む影3
アシロはブリクタの行動について耳にしており、彼女に会いたいと何度も天界に手紙を送ったが、どれも無駄だった。そして今日もまた手紙を書いている——千年間ずっと続けている習慣だった。
「アシロ、また手紙を書いてる」「もうずいぶん長いよね。……たしか、千年くらい?」「そう聞くたびに、やっぱりアシロは人間じゃないんだなって思う」「私、アシロの文字、全然読めないんだけど」「それはね、かなり古い象形文字だからだよ。地獄と天界で共通に使われてる文字なんだ。私たちの言語自体も、相当古いしね。もちろん、新しい技術には新しい言葉もある。たとえば“ウヅキ”。意味は『微粒子や光エネルギーが入り込む空間』だ。魔法を使えば、肉体や魂ごとコンピューターの中に入れるし、電気は光を生むだろ?」「じゃあ、人間から変わった私たちみたいな存在は?」「入れるよ。ただし、単独で入るには訓練が必要だ。慣れるまでは、アシロか俺たちが付き添う」「コンピューターの中、見てみたいな……両親も連れて行けたら、考えただけでワクワクする」「そのためにも、ちゃんと練習しろ。人間は、魔法の補助がなければ入れないからな。アシロは、仕事でたまに中に入る。停電していようが、電源が入らなくても問題ない。一度入ってしまえば、何をするかは自分で選べる。入らないという選択もできる。そこは個人の自由だ」「ゲームは?」「遊ぶこと自体は可能だ。ただ、俺たちは学生だし、目的は学習だ。今のところ、コンピューターは主に研究用途だから、遊ぶには専門家の許可がいる」「……つまり、簡単じゃないってことか」「人類は、基本的に技術の発展を最優先してきたからな」「でも、私たちは人間じゃない」「それでも同じだ。魔法と科学は、昔から裏で交流してきた」「魔法のこと、私たちは何も知らなかった」「魔女裁判のあと、君たちが魔法を忌避していると分かった。だから交流は、ずっと水面下だったんだ」「……そうなんだ。魔女裁判は、やっぱり悲劇だね」「ああ。あの時、アシロと俺たちは多くの人を守った。そして、その中には今でも人類を憎んでいる者もいる」「……ごめん」「お前のせいじゃない。あの時代が、そうだっただけだ」「うるさい。少しは静かにしてくれないか」アシロが苛立ったように言い放った。




