地獄通信1 人間として最後まで生きる1
アシロは身分証の更新が必要になり、白鷺女子学園に三年間在籍することになった。「ちょっとトイレに行こうとしただけなんだけど……」「まだ恥ずかしいの?じゃあ、今日は一緒に散歩しよ?」「いや!それとこれとは話が別だろ!」「もう諦めなさい」「誰か助けて……」「ふふ……残念だったね」
その夜、楓はアシロの手を、美紀は結衣の手を握り、毎日交代でその手を握っていた。すると突然、「坊や?」と声がした。美術部の部員がカメラを構えていた。どうやら近くで美術部の練習が行われていたようだ。アシロはもうダメだと思った。楓たちも凍りついた。しかし、部員は助けを呼ぶ気配もなく、奇妙な笑みを浮かべて静かに立ち去った。
翌日、授業中だったアシロは、美術部部長の山口恵子に呼び出され、美術室へ向かった。中には楓たちの姿もあった。「……あなたが、地獄通信の担当者よね?」「楓姉さん……まさか、みんな……」「ごめん。昨日、写真を撮られちゃって。隠しきれなかったの」恵子は楽しそうに微笑みながら続けた。「それでね。あなたに一つ、お願いがあるの。もう依頼状は送ってあるわ。誰かを――地獄に落とすの、手伝ってほしいの」「それなら、後日でもよかったはずだ。なぜ、今ここに?」「だって聞いたの。この四人、あなたと特別に親しいんでしょう?そう知ったら、うちの美術部、ちょっと興味が湧いちゃって」そう言って、恵子は舌なめずりをした。「……ひっ」「私ね、ずっと勉強ばかりで、恋愛なんてしたことなかったの。でも、あなたを見た瞬間……一目惚れ、かもしれないわ」「……授業に戻る」「本当に? あなた、授業に出る必要あるの?」「ある。身分証を更新して偽の経歴を作るには、高校に三年間在籍する必要がある。授業は……知識の更新にもなる」「ふふ……地獄の責任者って、意外と真面目なのね。それがまた、好きになりそう」「正太趣味の美術部長・恵子。その噂、もう他校にまで広まってるぞ」「美術部、私以外もみんなあなたに興味津々よ?」「ちょっと、アシロ。早く離れなさい。この人たち、本気で牙をむくから」「そんなこと言われたら、傷つくわ……ふふ」「……演技が雑すぎる」




